EXHIBITIONS

Early Summer Show

2025.06.21 - 07.12
 ギャラリー椿で、作家8名によるグループ展「Early Summer Show」が開催される。

 本展では、岩渕華林、榎本もあ、しろこまタオ、高木まどか、津守愛香、東條明子、中原ちひろ、RORI HEEの8名の作家による作品を展示する。

 岩渕は1982年神奈川生まれ。2009年東京造形大学卒業。シルクスクリーンやコラージュ、アクリル、日本画材などを用いて女性と衣服、花を描いたタブローが特徴。花や蝶を女性らしさのメタファーとし、現代社会を生きる女性の普遍的な強さや美しさを描く。近年はさらにその内側にある繊細で柔らかな心情を描き出した陶作品やドローイングも発表。

 榎本は2003年静岡県生まれ。女子美術大学洋画専攻在学中。静かに佇み時に涙を流す少女や生物をモチーフとし、繊細な物語性を持つ、しっとりとした質感と透明感のある色彩の油彩画・立体造形を制作。

 しろこまは1994年神奈川県生まれ。2019年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。2021年同大学大学院修了。油性木版画技法とレースペーパー作製技法を軸に創作を展開。デジタル技術を活用しながら手仕事に軸を置く独自の技法を確立し、探求を続けている。細密表現が可能な独自技法とあわせ、自身のアンティーク蒐集品から着想を得た細密で繊細な世界を築いている。

 高木は1983年徳島県生まれ。2006年多摩美術大学絵画学科版画専攻卒業。2008年同大学大学院卒業。粘土による立体表現や刺繍を施した平面作品に、アクリルによる描画を加える手法で制作する。ギャル文化を象徴する「デコ盛り」との親和性を持ち、着物の柄に影響を受けた鮮やかな色彩と動物的・プリミティブな形が特徴。

 津守は1979年滋賀県生まれ。2002年京都市立芸術大学卒業。人形への記憶を起点に、顔のあるものに対して生じる感情に着目した表情豊かな陶作品を制作。古代彫刻や仏像、神話、お伽噺などに影響を受け、近年は彼女の娘の描く絵から着想を得たシリーズも展開。

 東條は1984年東京都生まれ。2009年東京藝術大学美術学部彫刻科卒業。2011年同大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了。日常で生まれる捉えどころのない思いを、女性や子供、動物などをモチーフとした彫刻で表現。

 中原は1990年東京都生まれ。2012年富山大学芸術文化学部卒業。2014年同大学大学院芸術文化学研究科修了。異界の生き物たちを描きながら、他者から受けた心象や記憶の断片をキャンバスに重ねていく独自の表現を探求。主導者のいない世界で、キャラクターたちが自由に戯れる空間を創造する。

 HEEは1979年韓国生まれ。長安大学視覚芸術デザイン学科(韓国)卒業。韓国最大のSNSプラットフォームでのキャラクターデザイン・プランナー経験を経て、2011年より制作を開始。童話的かつ夢幻的な世界観で社会からの期待や視線に揺れる心を描く。

 今回展示する8名の作家は、日常のささやかな出来事や心の動きに目を向け、それらを再構築し自らの世界として紡ぎ出している。その表現はたんなる愛らしさに留まらず、感情や記憶、さらには社会との関係性にまで踏み込む。油彩、アクリル、水彩、版画、木彫、陶と、多様な素材と技法を用いて生み出される作品群は、それぞれの「私の世界」を提示する。繊細さと力強さが同居し、観る者の感覚や記憶を呼び覚ます。

 初夏のひとときに、8名の作家がつくり出す多彩な表現の広がりを体感する展覧会が目指される。