EXHIBITIONS

小林夏美・松田啓佑「Draw-ing:境界を漂う―開かれた布置」

ぎゃらりい秋華洞
2025.09.06 - 09.20
 ぎゃらりい秋華洞では、小林夏美と松田啓佑による2人展「Draw-ing:境界を漂う―開かれた布置」で開催されている。

 小林は、モノプリントによる版画制作を展開する確かな経験をもとにしながらも記憶や感覚を抽象化し、主に描画を用いて定着させることを試みている。松田は、理性的な構造としての絵画とは異なるアプローチで、色彩やストロークを通じた絵画表現に取り組んでいる。

 一見、極度に抽象化されたかのように見える両者の作品だが、転写や色面構成により、かつてとらえたイメージの境界を露わにする行為は、線的性質にとどまらないドローイング像を提示の存在を示唆する。また、こうした刷る・描く・擦る・剥がすといった一連の行為の痕跡は、視覚イメージを超え、事物同士が関わりあうなかで偶然に生まれた、「状況」でもあると考えている。

 「素描」という従来の括りにとらわれず、線を核とした表現を広く「ドローイング」としてとらえることで、秩序だった手順にしばられない、不定形のイメージが生まれてくる瞬間を観測していく。