「Tokyo Gendai 2025」開幕レポート。厳しい市場だからこそ試される「支え合いの精神」
第3回の「Tokyo Gendai」が9月11日、パシフィコ横浜で開幕した。アートマーケット全体に不透明感が漂うなか、国内コレクターの堅調な動きや新規参入ギャラリーの挑戦が交錯する今年のフェアをレポートする。

第3回となる国際的なアートフェア「Tokyo Gendai」が、9月11日にパシフィコ横浜で開幕した。これまでの2回はいずれも7月に開催されてきたが、今年は初めて9月に移行。ちょうど韓国のアートフェア「フリーズ・ソウル」や「KIAF」に続くタイミングとなったことで、韓国を訪れた海外のコレクターやキュレーターの一部がそのまま東京に足を延ばすことを狙った日程設定となった。
また、フェア開幕直後には国際芸術祭「あいち2025」の開幕や、会期中に国立新美術館と香港・M+による合同展「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」の開催など、国内外から注目を集める大型展覧会も相次ぐ。この週に訪日する国際的観客の動向が、Tokyo Gendaiにとって追い風となることも期待されている。加えて、同フェアは今年から韓国のアートフェア「Art Busan」と戦略的パートナーシップを結び、多くの韓国ギャラリーを招聘した点も特徴だ。

もっとも、韓国での「フリーズ・ウィーク」が美術館の無料公開や多彩な関連イベントで賑わったのに対し、今週の東京のアートシーンは比較的落ち着いた印象を受ける。国立新美術館がフェア開幕の前夜に特別内覧会を開いたほか、TENNOZ ART WEEKのオープニングや、シャンパーニュ・ブランド「ペリエ ジュエ」による関係者向け晩餐会など一部の催しはあったものの、美術館や街を巻き込む盛り上がりは限定的だった(フェアのシャンパーニュパートナーであるペリエ ジュエは会場内のブースでも、ポーランドのアーティスト、マルシン・ルサックによるマルチメディア・インスタレーションを展示している)。こうしたパーティーやイベントの多寡はフェアの質を直接示すものではないが、アートシーンや市場の空気を映し出す要素として見逃せない。

今年のTokyo Gendaiには66のギャラリーが出展し、前年の69からやや減少した。7月に閉廊を発表したBLUMをはじめ、ペロタン、SCAI THE BATHHOUSE、MAHO KUBOTA GALLERY、MISAKO & ROSENなど国内外のギャラリーが出展を見送った。いっぽう、新規出展としては、上海のギャラリー重鎮ShanghARTや上海とニューヨークに拠点を持つBANK、韓国のGallery BatonやGana Art、日本からは昨年設立されたspace Unや、国内外のフェアに積極的に参加するCON_などが加わった。さらに、ロンドンの大手ギャラリーSadie Coles HQが今年、フリーズ・ソウルを離れてTokyo Gendaiを選んだ点も注目される。

