辛遊理「不在の温度」

　Cyg art galleryで、辛遊理による個展「不在の温度」が開催されている。

　辛遊理は岩手県盛岡市出身。辛の作品は、記憶から断片的に抽出したイメージや静かに佇む人物像、モノクロームの色調が特徴となっている。近年は、木材を用いてオブジェを制作したり、分厚い板に直接描いたりと、絵画と立体の境界を曖昧にするような作品も手がけている。

　日常の出来事が制作の軸となる辛は、数年前に家族との別れを経験し、日々の喜ぶや寂しさ、物事により焦点をあてるようになったという。それらは、夢や温度など、実際には触れることのできないものとなって絵画のなかに取り込まれる。