EXHIBITIONS
布施琳太郎「人工呼吸、あるいは自画像の自画像」
SNOW Contemporaryで、布施琳太郎による個展「人工呼吸、あるいは自画像の自画像」が開催される。
布施琳太郎は1994年生まれ。iPhone登場以降の急速に再構成される認知や慣習、新型コロナウィルスの感染拡大によるコミュニケーションのオンライン化などを踏まえつつ、現代社会における「生」のあり方を自主企画の展覧会を中心とした作品制作やテクストの執筆などで表現してきた。
ひとりずつしかアクセスできないオンライン展「隔離式濃厚接触室」(2020)、廃印刷工場でのキュレーション展「惑星ザムザ」(小高製本工業跡地、2022)、個展「新しい死体」(PARCO Museum Tokyo、2022)、グループ展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(国立西洋美術館、2024)などで立て続けに発表を行なういっぽうで、2023年には詩集『涙のカタログ』と批評集『ラブレターの書き方』を同時刊行。そして本年初頭には、シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)の2024年度フェロー成果発表で「架空の水族園構想」「プラネタリウムにおける観測報告」「新たな美術雑誌の刊行」からなる『パビリオン・ゼロ』(葛西臨海公園、コスモプラネタリウム渋谷など)を発表した。
今回「久しぶりに引きこもって制作した」と語る布施は、「自画像」をテーマとした100枚近いドローイングの制作によって、新たな身体論の創出に向きあった。制作のなかで布施が参照したのは、人工知能の記号接地問題、当事者と非当事者の身体、解剖学者の語る「骨と筋肉」の関係、心肺蘇生訓練用の人形「レサシアン」、ロボット工学博士の「不気味の谷」、そしてゲームやアバターなどである。これらのリサーチによって変化していくセルフイメージの現在地を、自室で描き留めることで生み出されたドローイング群をデータベースとして、着想された新作パフォーマンスや平面作品も本展では発表される。
こうした制作について布施は、自らの実感から「新たな身体論が要請されている。インターネットのなかを経済原理で拡散する情報群、それを錯乱することなく認識するには、言語ではなく身体を、世界把握の根拠にしなければならない」とまとめている。
これまで布施は、インターネットにアップロードされたセルフィー(自撮り)をスプレーで描く絵画シリーズ「Retina Painting」(2017〜)、映像や平面、詩などの展示構成によって存在しない死体を表現する個展「新しい死体」など、独自の身体像を展開してきた。しかしそれらが「他人の身体」だったと語る布施は、領域横断的な問題系を結びあわせて自画像制作に向きあうことで、新たな身体論の完成に迫る。
本展は、約100枚のドローイング、新作絵画、パフォーマンス、映像で構成される予定だ。
布施琳太郎は1994年生まれ。iPhone登場以降の急速に再構成される認知や慣習、新型コロナウィルスの感染拡大によるコミュニケーションのオンライン化などを踏まえつつ、現代社会における「生」のあり方を自主企画の展覧会を中心とした作品制作やテクストの執筆などで表現してきた。
ひとりずつしかアクセスできないオンライン展「隔離式濃厚接触室」(2020)、廃印刷工場でのキュレーション展「惑星ザムザ」(小高製本工業跡地、2022)、個展「新しい死体」(PARCO Museum Tokyo、2022)、グループ展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」(国立西洋美術館、2024)などで立て続けに発表を行なういっぽうで、2023年には詩集『涙のカタログ』と批評集『ラブレターの書き方』を同時刊行。そして本年初頭には、シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)の2024年度フェロー成果発表で「架空の水族園構想」「プラネタリウムにおける観測報告」「新たな美術雑誌の刊行」からなる『パビリオン・ゼロ』(葛西臨海公園、コスモプラネタリウム渋谷など)を発表した。
今回「久しぶりに引きこもって制作した」と語る布施は、「自画像」をテーマとした100枚近いドローイングの制作によって、新たな身体論の創出に向きあった。制作のなかで布施が参照したのは、人工知能の記号接地問題、当事者と非当事者の身体、解剖学者の語る「骨と筋肉」の関係、心肺蘇生訓練用の人形「レサシアン」、ロボット工学博士の「不気味の谷」、そしてゲームやアバターなどである。これらのリサーチによって変化していくセルフイメージの現在地を、自室で描き留めることで生み出されたドローイング群をデータベースとして、着想された新作パフォーマンスや平面作品も本展では発表される。
こうした制作について布施は、自らの実感から「新たな身体論が要請されている。インターネットのなかを経済原理で拡散する情報群、それを錯乱することなく認識するには、言語ではなく身体を、世界把握の根拠にしなければならない」とまとめている。
これまで布施は、インターネットにアップロードされたセルフィー(自撮り)をスプレーで描く絵画シリーズ「Retina Painting」(2017〜)、映像や平面、詩などの展示構成によって存在しない死体を表現する個展「新しい死体」など、独自の身体像を展開してきた。しかしそれらが「他人の身体」だったと語る布施は、領域横断的な問題系を結びあわせて自画像制作に向きあうことで、新たな身体論の完成に迫る。
本展は、約100枚のドローイング、新作絵画、パフォーマンス、映像で構成される予定だ。