2025.2.12

「LOVE ファッション 私を着がえるとき」が東京に巡回。東京オペラシティ アートギャラリーで4月から

京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する衣装コレクションを中心に紹介する 「LOVE ファッション 私を着がえるとき」が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。会期は4月16日〜6月22日。

ドレス(ローブ・ア・ラ・フランセーズ)(部分) フランス  1775(テキスタイル1760年代) ©京都服飾文化研究財団 撮影=畠山崇
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 京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する衣装コレクションを中心に紹介する 「LOVE ファッション 私を着がえるとき」。昨年、京都国立近代美術館開催された同展が、東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーに巡回する。会期は4月16日〜6月22日。

 本展は、18世紀から現代までの衣装コレクションを、人間あるいは生物の根源的な欲望や本能を映し出すアート作品とともに展示することで、装いにみられる様々な「LOVE」のかたちを取り上げる試み。

Loewe ドレス(部分) 2022秋冬 撮影=来田猛

 展覧会は全5章構成。KCIの豊かなコレクションより選ばれた、18世紀から現代までの衣服74点と装飾品15点を中心に、アート作品約40点を加えた約130点の作品が展示される。 

Gaultier Paris by sacai アンサンブル(部分) 2021年秋冬 撮影=守屋友樹 ©京都服飾文化研究財団
原田裕規 Shadowing 2023 撮影=Katsura Muramatsu ©Yuki Harada

 「Chapter 1. 自然にかえりたい」では、自然に対する憧れや敬愛、身にまといたいという願望から生み出された多種多様な衣服を紹介。本展の始まりを飾るチャプターとして、歴史の各時代に現れた動物素材や植物柄のファッションを展示する。華やかな花柄が刺繍された18世紀の男性用ウエストコート、20 世紀前半に流行した鳥の羽根やはく製が飾り付けられた帽子、毛皮不使用や環境保護を標榜するエコファーのコートなどに加えて、人間の毛髪を素材とした小谷元彦の作品が展示される。 

Le Monnier ベレー 1946頃 撮影=林雅之 ©京都服飾文化研究財団
J. C. de Castelbajac コート 1988秋冬 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団

 「Chapter 2. きれいになりたい 」は、19世紀の身体美の要を担ったコルセットや、布地の芸術作品として卓越した造形で魅惑するクリストバル・バレンシアガなど20世紀中葉のオートクチュール作品を中心に展示する章。ヨウジ・ヤマモトやジル・サンダーなどの彫刻的な現代ファッションとともに、衣服のかたちに現れた多様な「美しさ」の創造力を紹介する。

Balenciaga イヴニング・ドレス 1951冬 撮影=畠山崇 ©京都服飾文化研究財団、
Christian Dior イヴニング・ドレス 1951春夏 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団

 「Chapter 3. ありのままでいたい」では、1990年代以降にプラダやヘルムート・ラングらが牽引した、自然体のリアルな体を主役にするミニマルなデザインの服や、ミニマル・ファッションの究極系とも表現できる、いわゆる「下着ファッション」を中心に展示。展示された服は、身近な友人との日常を切り取ったヴォルフガング・ティルマンスの写真や、現代社会を生きる女性のリアルを描写した松川朋奈の絵画と響き合う。

Nensi Dojaka ドレス 2021秋冬 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団
松川朋奈 それでも私が母親であることには変わりない 2018 個人蔵 撮影=加藤健 ©Tomona Matsukawa courtesy of Yuka Tsuruno Art Office

 「Chapter 4. 自由になりたい」は、アイデンティティの変容を描いた本作に触発されたコム・デ・ギャルソンの2020年春夏コレクション、コム・デ・ギャルソン オム・プリュスの2020年春夏コレクション、川久保玲が衣装デザインを担当したウィーン国立歌劇場でのオペラ作品《Orlando》(2019)の「オーランドー」三部作を一挙に紹介。異なる時代に制作された文学と衣服に通底する、アイデンティティの物語への普遍的な問いかけを探る。

Comme des Garçons (川久保玲) トップ、パンツ 2020春夏 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団

 最後となる「Chapter 5. 我を忘れたい」では、トモ・コイズミによるフリルとリボンを用いたモビルスーツのような愛らしい作品や、ロエベによるまるで唇に私の身体が乗っ取られてしまったかのような作品を紹介。服を着ることの一瞬のときめきや楽しさを伝えるとともに、服がつねに別の新しい服を求める欲望とともに発展してきたことを改めて提示。AKI IMONATAの《やどかりに「やど」をわたしてみる》などを提示し、着替えることの欲望をたどる。

Tomo Koizumi ジャンプスーツ 2020年春夏 撮影=来田猛 ©京都服飾文化研究財団
AKI INOMATA やどかりに「やど」をわたしてみる -Border- 2010/2019 京都国立近代美術館蔵 ©AKI INOMATA

 そのほか、各章では、笠原恵実子、澤田知子、シルヴィ・フルーリー、原田裕規、横山奈美 らの現代美術作品が展示される。