「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」(東京都庭園美術館)開幕レポート。時代を切り拓いたグラフィックデザインの数々に注目
東京都庭園美術館で「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」がスタートした。会期は5月18日まで。

東京・白金台の東京都庭園美術館で「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」がスタートした。会期は5月18日まで。同展は、西宮市大谷記念美術館で開催された展覧会の巡回展にあたる。
ドイツは第二次世界大戦で敗戦後、東西に分断され、共産主義のドイツ民主共和国(東ドイツ)とドイツ連邦共和国(西ドイツ)の2つが成立。以降、1989年のベルリンの壁が崩壊し再統一されるまでその状態は続いた。同展は、この約40年間の社会状況と、そのあいだに制作された西ドイツのグラフィックデザインの様相を俯瞰するものとなる。
今回出展されている作品は、デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナー、イェンス・ミュラー&カタリーナ・ズセックによって収集された「A5コレクション デュッセルドルフ」であり、日本初公開。戦後西ドイツのグラフィックデザイン資料のなかから「幾何学的抽象」「タイポグラフィ」「イラストレーション」「写真」の観点で選ばれたポスターを中心に、冊子や雑誌など多彩な作品が全5章立てで展示されている。

まず、同館1階の「西ドイツデザインへようこそ」では、戦後に経済大国へと成長を遂げた西ドイツと、その状況が垣間見えるグラフィックデザインの数々が紹介されている。1972年の「ミュンヘンオリンピック」や、55年に第1回が開催され、いまなお続く現代美術展「ドクメンタ」、世界最大のセーリング・フェスティバル「キール ウィーク」などといった国際的なイベントを通じて、グラフィックデザインが自国のアピールのために、いかに大きな役割を果たしたかがうかがえる。


