「Keith Haring: Arching Lines 人をつなぐアーチ」(中村キース・ヘリング美術館)開幕レポート。彫刻作品からみるヘリングの公共性
山梨県北杜市にある中村キース・ヘリング美術館で、「Keith Haring: Arching Lines 人をつなぐアーチ」が開幕した。会期は2026年5月17日まで。

山梨県北杜市にある中村キース・ヘリング美術館で、キース・へリングの没後35周年を記念し、彫刻作品に焦点を当てた「Keith Haring: Arching Lines 人をつなぐアーチ」が開幕した。会期は2026年5月17日まで。
キース・へリングは1980年代のアメリカ美術を代表するアーティストで、人や犬といったモチーフを輪郭線のみで描く独自のスタイルが特徴である。1979年に、出身地であるペンシルベニア州からニューヨークに移住した直後から、地下鉄構内の広告板にチョークで描く「サブウェイ・ドローイング」を開始。「誰にでも届く視覚言語」の可能性を追求してきた。さらに、世界各地での壁画制作、アートを多くの人々に届けることを目的とした「ポップショップ」の展開、社会的メッセージを発信する活動など、従来のアーティストの枠にとらわれないプロジェクトを実現してきた。
そんなヘリングの作品を1987年から収集していた中村和男が、精神性に富んだヘリングの作品と豊かな自然との化学反応に期待し、約300点以上のコレクションをもとに山梨県北杜市に設立した美術館が、中村キース・ヘリング美術館である。