2025.6.20

私たちは黙らない。戦時下の性暴力をめぐる「Unsilenced」展、ロンドンで開催中

戦争や紛争の際に起きた性暴力について考察する「沈黙しない:紛争下の性暴力」展がイギリスの王立戦争博物館ロンドンで開催中だ。会期は11月2日まで。語られることの少ない題材を取り上げた意欲的な本展をレポートする。

文・写真=坂本みゆき

展示風景より
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イギリス初の戦争と人々に特化した博物館

 王立戦争博物館ロンドン(Imperial War Museum London)は、第一次世界大戦中の1917年に開館した歴史あるミュージアムだ。イギリス国内で戦争に特化した初めての国立博物館であり、戦勝などの栄光を讃えるものではなく、軍隊に従事した人々や戦下に暮らすあらゆる階級の人々の苦労や犠牲を記録することを目的に設立された。現在は市内に第二次世界大戦中の参謀本部を保存・再現した「チャーチル・ウォー・ルームズ」も持ち、ロンドン以外にもマンチェスターやケンブリッジシャー州のダックスフォード、北アイルランドのベルファストに博物館を持つ。

王立戦争博物館ロンドン

時間をかけて準備した、渾身の展覧会

 現在、同館で開催中の「沈黙しない:紛争下の性暴力」(Unsilenced: Sexual Violence in Conflict)は、その名が示す通り戦時中に起きた性暴力の展覧会だ。日頃公に語られる機会が少ない題材ということもあり、準備には6年の月日を費やしたという。