安井ちさと「Whereabouts -かたちの途中の。」

　CALM & PUNK GALLERYで、安井ちさとによる個展「Whereabouts -かたちの途中の。」が開催されている。

　安井は、これまで素材と自身の身体との対話を通じて、陶芸の枠を超えた作品を制作してきた。前回の個展「Whereabouts」では、直線的で多面的なフォルムと丸みを帯びた作品が同居した空間が特徴的であったが、今回はより柔らかな曲線や曖昧な輪郭を持つ形状へと作品が変化。ギャラリー内には、2メートルを超える大型の陶作品《Profile20》をはじめ、白化粧土を用いた新作《plus/minus》や、油絵具で着彩されたような《en》シリーズなど色彩豊かな作品が展示されている。

　本展のタイトル「Whereabouts -かたちの途中の。」にあるように、安井ちさとは近年、輪郭を歪めるような手つきや姿勢を作品に取り入れている。この手法は、陶土を高温で焼成する過程で一度溶け出す様相と重なり、作家自身の新たな表現への衝動を反映しているという。