Gil Kuno「::: Unsound Frequencies :::」

　√K Contemporaryで、マルチメディアアーティスト・Gil Kuno（ギル久野）の活動30周年記念展「::: Unsound Frequencies :::」が開催される。

　ギル久野はアメリカ・ロサンゼルス出身。カリフォルニア大学ロサンゼルス校でメディアアートを専攻。ニューヨーク、東京を拠点に活動している。

　ギルは、1995年、インターネット黎明期にアーティストと音楽家の素材を用いて作品をつくることができるクリエイティブサイト、Unsoundを立ち上げ、創作活動をスタートした。同サイトを運営しつつ、インターネットバンドWIGGLE、FLOW、Six String Sonics（ギター解体ユニット）などで活動。サウンドアーティストとして、テクノミュージシャン ケン・イシイとともに、フジロックフェスティバルに出演。そのほか著名な音楽家との共演、コラボレーションを行い世界的に評価されてきた。同時に、マルチメディアアーティストとして、様々なサウンドアートオブジェなどを制作し、国内外の芸術祭や美術館などで作品を発表している。

　30年にわたる創作活動のなかで発表されてきた映像、平面、立体、サウンドといった多様な表現のなかには、規則性と不規則性がテーマとして通底している。一定の規則的なリズムを持つ自然界のなかに存在する「ノイズ」が、音や映像、平面作品によって表現され、観者の視覚、聴覚に訴えかけるものとなっている。

　ギルの活動を回顧的に紹介する本展では、代表作ともされるフリップドットを用いた《Noise Maker》や、デヴィッド・ボウイへのオマージュとして制作された映像作品《15min of fame》、ギターを解体した《Six Strings Sonics》、版木を用いた平面作品など、ギルの始点となるサウンドアートから新作までを展示。また本展では、無線機を使ったインタラクティブな鑑賞体験を楽しむことができ、さらにゲストが出演するライブイベントや、気鋭のキュレーター・丹原健翔をはじめとしたゲストを招いたギャラリートークも開催される。