EXHIBITIONS

企画展

野町和嘉―人間の大地

2025.07.05 - 08.31

野町和嘉 カイラス山を巡礼する娘。西チベット 1990 ©Kazuyoshi Nomachi

 世田谷美術館で、企画展「野町和嘉―人間の大地」が開催される。

 写真家・野町和嘉は、1972年、25歳の時にサハラ砂漠を訪れ、大きな転機を迎えた。辺境に関する情報が乏しい時代、出会った旅人と地図を分けあうような行程のなかで、野町は蒼穹の下に開けた地平線と、古来より連綿と続く人々の営みに魅せられていく。サハラの写真が認められ各国のグラフ誌に掲載されるようになり、野町はさらにエチオピア、チベット、サウジアラビアと、深い信仰が人々の暮らしをかたちづくっている、しかし外部の者が容易には近づくことのできない土地を目指した。

 旅を続ける野町の写真には、過酷な風土のなかで暮らす人々の息遣いと生き抜く意志が宿っている。その作品群は、デジタル・テクノロジーにより急速度で画一化されつつある現在ではもはや見ることのできない、貴重な人と大地のドキュメントとなっている。

 本展では、「サハラ」「ナイル」「エチオピア」「グレート・リフト・ヴァレー」「チベット」「メッカとメディナ」「アンデス」の7つのテーマで代表作品を紹介し、野町和嘉の50年にわたる活動の足跡をたどる。