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2025.4.6

芸術教育における課題が“ゲーム”に変わるとき。「ウィキッド・アーツ」が問い直す、創造力と学びの本質

オランダ・アムステルダム芸術大学が主導する「ウィキッド・アーツ」シリーズは、従来の枠にとらわれない型破りな“課題”を通じて、芸術教育の再構築を目指してきた。課題とは何か? 創造性とはどう育まれるのか? 最新刊『ウィキッド・アーツ・エデュケーション』を手がかりに、教育の可能性を探る。

文=國上直子

『ウィキッド・アーツ・エデュケーション』の表紙 Courtesy of Amsterdam University of the Arts

 アムステルダム芸術大学にある「芸術教育研究グループ」では、15年以上にわたり、現代の芸術教育に関する研究と指導を行ってきた。同グループが手がけるプロジェクト「ウィキッド・アーツ・アサインメンツ」は、世界各地の芸術教育関係者が授業で採用する「課題」を収集している。

 2020年に出版された『ウィキッド・アーツ・アサインメンツ』(Valiz)では、およそ100点におよぶ課題例が紹介された。いたずらっ気があるという意味を持つ「ウィキッド」と冠されているだけに、それぞれの課題は型破りでユーモアがあり、興味をそそる。さらに社会との関わりや批判的思考を促す要素も含むため、「こなして終わり」という課題とは一線を画している。

 昨年末には、続編となる『ウィキッド・アーツ・エデュケーション』(Valiz)が刊行された。本書では、ウィキッド・アーツ・アサインメンツの“背骨”となる、教育理論が説かれている。同研究グループのメンバーで両書の著者でもある、メリッサ・ブレマーとエミエル・ヘイネンに、彼らが提唱する新たな芸術教育のあり方について聞いた。 

ウィキッド・アーツ・アサインメンツとはどのような課題なのか?