アニメ/マンガの企画展はなぜ拡大するのか。文化と経済のインパクトから考える
近年、盛んに開催されているアニメやマンガ、キャラクターをテーマにした原画展や企画展。その隆盛の背景と経済的な需要、文化的な課題を、アニメーションに関する取材を長年行ってきたジャーナリスト・数土直志が解説する。

00年代、東京都現代美術館の切り拓いた道
アニメやマンガ、キャラクターをテーマにした原画展や企画展が大盛況だ。直近の春の大型連休だけをとっても「ゴジラ・THE・アート展」(森アーツセンターギャラリー、〜6月29日)、「庵野秀明展」(金山南ビル美術館棟、〜6月23日)、「士郎正宗の世界展 〜『攻殻機動隊』と創造の軌跡~」(世田谷文学館)、「描く人、安彦良和」(青森県立美術館、〜6月29日)をはじめ、全国各地で開催されている。ネットで検索すれば、すぐにでも行ける何十ものイベントを探し当てることができる。

いまでは見慣れた風景だが、アニメ/マンガの企画が急激に増えたのはここ10年あまりだろう。アニメ人気の盛り上がりに加えて、作品鑑賞だけではないかたちでアニメ・マンガを体験したいファンを、原画や制作素材を見せて楽しんでもらうことでうまく取り込んだ。

その展示方法は美術館を会場とするものからアニメショップのイベントスペースまで、規模も目的も様々で成り立ちも違う。なかでも近年は、美術館や博物館で開催されるより本格的で大規模なアニメ・マンガ関連企画展が増加しているのが特徴だ。