2026.2.3

大阪・関西万博を「デザイン」と「建築」から再考する。日本科学未来館で「みゃくみゃくとつなぐ展」開催

2025年、社会に大きなインパクトを残した「大阪・関西万博」。その膨大な成果をたんなる記録に留めず、未来へのプラットフォームとして捉え直す試みが行われる。

「EXPO2025 Design System」 WORLDコアグラフィック「Inochi」
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 東京・お台場の日本科学未来館は、2月18日より企画展「みゃくみゃくとつなぐ展 ~万博とひらく未来~」を開催する。本展は「アフター万博」企画の第一弾として、万博で提示された先端テクノロジー、そしてSNSを巻き込み大きなうねりを見せた「デザインシステム」と「若手建築家による空間の実験」に焦点を当てる。

 本展の大きな見どころのひとつは、クリエイティブディレクター・引地耕太(VISIONs)が主導した万博の「デザインシステム」の解剖だ。

 SNSを中心に、公式キャラクターの二次創作的派生形である“こみゃく”たちが自発的に生まれた現象は、現代における「公共のデザイン」の新たなかたちを提示した。会場では、クリエイティブディレクター・引地耕太がデザインシステムを提案した際の貴重なプロポーザル資料や、万博のデザインに関わる出来事をまとめた年表など、デザインシステムが生まれるプロセスを紹介。トップダウンの視覚伝達に留まらない、「参加と共創を促すプラットフォーム」としてのデザインがいかにして機能したのか、そのプロセスをひも解く。

「EXPO2025 Design System」 WORLDコアグラフィック「Inochi」

 また、アート・建築ファンにとって見逃せないのが、万博会場を彩った建築群の再検証だ。藤本壮介による「大屋根リング」という巨大な象徴に対し、会場内のトイレや休憩所などの小規模施設では、若手建築家たちによる極めて実験的な試みが展開されていた。

 本展では、藤本の設計コンセプトを映像で展示するほか、工藤浩平、小俣裕亮、米澤隆といった次世代を担う建築家たちが担当した施設を紹介。「石」という根源的な素材を通じてコストパフォーマンスを再考したパビリオンや、1970年万博の「空気膜構造」を現代的に再解釈した構造体など、建築の常識を揺さぶる挑戦の数々を、映像や資料を通じて展示する。

トイレ3「レスポンシブ・ストラクチャー」
トイレ5「積み木のような建築」

 万博の華であった先端科学技術の「実物」も集結する。東京初公開となる、3Dバイオプリント技術による「家庭で作る霜降り肉」や、いのちの拍動を伝える「iPS細胞による心筋シート」、さらには1970年のレガシーを継承した「ミライ人間洗濯機」(入浴体験なし)などが並ぶ。

万博での「心筋シート」

 会場内では、7人のコンポーザーが手がけたサウンドスケープも再現。万博という巨大な「実験場」で試行された科学・デザイン・建築が、私たちの日常や都市の風景をどう変えていくのか。万博が残した“脈々”と続く遺伝子を、いま改めて東京の地で目撃したい。