2026.2.3

何が変わる? 東京都江戸東京博物館が3月31日にリニューアルオープン

東京の歴史と文化を立体的に伝えてきた東京都江戸東京博物館(えどはく)が、3月31日にリニューアルオープンする。

東京都江戸東京博物館
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 東京の歴史と文化を立体的に伝えてきた東京都江戸東京博物館(愛称:えどはく、原設計:菊竹清訓建築設計事務所)が、3月31日にリニューアルオープンする。1993年の開館以来、約30年で初となる大規模改修工事を経て、展示環境や来館者動線、環境性能などを全面的に刷新。「東京のアイコン」としての役割を、次の時代のために更新する。

 今回の改修では、老朽化した内外装や空調設備の全面更新に加え、東西に張り出す大屋根の断熱性・防水性を向上。来館者の安全性と快適性を高めると同時に、展示環境の安定化も図られた。館内照明のLED化や人感センサーの導入、太陽光発電設備の設置など、環境負荷低減への取り組みも強化されている。

 利便性とバリアフリー機能の向上も大きな柱だ。都営大江戸線・両国駅側から北エントランスへと至る動線には歩廊を増設し、JR両国駅側からメインエントランスへは光天井を採用したアプローチを整備。1階にはバリアフリートイレを新設し、館内サインにはユニバーサルデザインフォントを導入するなど、「開かれた博物館」を体現する改修が進められた。7階図書室はスペースを拡張し、開架冊数を増やすとともに、東京大空襲や戦争体験の証言映像を視聴できる映像ライブラリーも常設される。

 空間演出と展示のアップデートも注目される。建築家・重松象平がパートナーを務めるOMA(Office for Metropolitan Architecture)の監修のもと、館内外の空間デザインを再構築。1階西側アプローチには鳥居をモチーフとしたオブジェを設置し、3階「江戸東京ひろば」では収蔵品を活用した大型映像投影を行うなど、現代から江戸へと没入していく体験を強化している。

 常設展示室では、大型模型「朝野新聞社」を建て替え、史実にもとづくかたちで「服部時計店」へと改修したほか、芝居小屋「中村座」を内部に入れる仕様へと改善。江戸の庶民に身近であった、街中での「朝顔売り」や「天麩羅」の屋台などを新設し、江戸の街並みをより身体的に感じられる展示へと更新される。

2025年12月時点の鳥居のモニュメント 撮影=編集部
会場風景より、原寸大で再現される服部時計店

 附帯施設も刷新される。和ダイニングレストラン「こよみ」や「ippuku cafe」「ミュージアムショップ D!G TOKYO」などが新たな装いで再始動し、鑑賞前後の体験を支える。あわせて、館内サービスの充実に伴い、常設展観覧料は一般800円(従来600円)へと改定される。

 江戸から東京へと連なる都市の記憶を、建築・展示・環境の各側面から再定義する今回のリニューアル。江戸東京博物館は、過去を学ぶ場であると同時に、都市の未来を考えるプラットフォームとして、新たなフェーズへと踏み出す。