VOCA賞受賞・戸田沙也加インタビュー:「語られざる者の残響」は、現在そして未来の鑑賞者に何を語りかけるのか?
「VOCA展2026」で大賞であるVOCA賞を受賞した戸田沙也加。受賞作《語られざる者の残響》は、解体直前のアトリエに残された膨大な裸婦像との出会いから、9年の歳月をかけて編み出された。戸田は、男性の眼差しでつくられた彫刻たちをどのような視点から再解釈し、作品として編み直したのか。変容する社会やジェンダー、そして出産を控えた自身の表現者としての未来について話を聞いた。

「語られざる者の残響」は、現在そして未来の鑑賞者に何を語りかけるのか?
──VOCA賞受賞おめでとうございます。まずは、受賞の感想をお聞かせください。
戸田 ありがとうございます。正直なところ、受賞まではまったく想像していませんでした。連絡をいただいた際も信じられず、上野の森美術館のVOCA展担当の学芸員の方に何度も聞き返してしまったほどです。
推薦してくださった埼玉県立近代美術館学芸員の鴫原悠さんとは当初直接の面識はありませんでしたが、実行委員を通じてご連絡をいただき、そこから対話が始まりました。鴫原さんはもちろん、家族やこれまで応援してくださった方々に喜んでいただけたことが、なによりも嬉しいです。

──受賞作《語られざる者の残響》は、どのような背景から生まれた作品でしょうか。
戸田 この作品のモチーフとなった裸婦像は、母校である女子美術大学の彫刻専攻の教授から誘われ、そのお父様(故人)のアトリエを訪ねたことがきっかけで出会ったものです。そこは再開発による区画整理エリアで、数年後には立ち退きが決まっている場所でした。
初めて訪れたのは約9年前ですが、暗がりのアトリエに200体以上のテラコッタの裸婦像が佇んでいる光景には、言葉を失うほどの衝撃を受けました。私自身、大学では裸婦像は受験や1年次のデッサンでしか関わりがなく、周囲につくる人もいませんでした。そのため、これほど情熱的に裸婦像をつくり続けた彫刻家がいた事実に、驚きと同時にある種の「恐ろしさ」さえ感じたのです。

その後、区画整理が進み、周囲の家が解体されて荒野のようになるなか、ジャングルのように植物に覆われたアトリエで裸婦像が朽ちていく様を、私は記録として撮影を続けました。昨年の夏、ついにアトリエも解体され、裸婦像が譲渡や廃棄の運命をたどる光景を目の当たりにしました。今回の作品には、長年にわたるアトリエ訪問の際に撮影した「首のない裸婦像」をはじめとする石膏作品の姿が反映されています。











