2025.12.20

VOCA展2026の受賞者が発表。VOCA賞は戸田沙也加に

VOCA展2026の受賞者が発表。グランプリとなるVOCA賞には戸田沙也加の《語られざる者の残響》が選ばれた。

戸田沙也加 語られざる者の残響 

 平⾯美術の領域で国際的にも通⽤するような将来性のある若い作家の⽀援を⽬的に1994年より毎年開催されている「VOCA展」。その領域から40歳以下の作家を、全国のアートの現場に精通した美術館学芸員、研究者などが推薦するもので、過去の出展者には奈良美智村上隆など現在日本のアートシーンを牽引する現代美術家たちが名を連ねてきた。また近年は、宮本華子(2025)、大東忍(2024)、永沢碧衣(2023)、川内理香子(2022)がグランプリである「VOCA賞」に選ばれている。

 今年33回目となる「VOCA展2026」のVOCA賞を受賞したのは、埼玉県川越市在住の戸田沙也加。受賞作品《語られざる者の残響》は、ある彫刻家のアトリエに残された裸婦像を主題としたもの。写真と絵画を並置して、複層的な時間・記憶を巧みに表している点が高く評価された。なお同作家の推薦者は鴫原悠(埼玉県立近代美術館)。

 また、「VOCA奨励賞」にはソー・ソウエンの《Pain things - ペイン ティングス》、寺田健人の《The Gunshot Still Echoes》 が選出。「VOCA佳作賞」は、加藤千晶の《ゆらぐ輪郭、声の断片を拾う》、倉敷安耶の《手を添える》となった。

 選考委員を務めたのは、拝戸雅彦(選考委員長/キュレーター)、尾﨑信一郎(鳥取県立美術館館長)、丹羽晴美(東京都現代美術館事業企画課長学芸員)、服部浩之(キュレーター/東京藝術大学大学院准教授、国際芸術センター青森館長)、原久子(大阪電気通信大学教授)。そのほか、今年の推薦者には美術館学芸員のみならず、各地域の公共文化施設の担当者やライターなども含まれており、推薦する側の幅の広がりや年齢層の変化、ジェンダーバランスなど、さらなる広がりが見られる。なお、大原美術館賞は昨年で終了となった。

 これらの作品を一堂に展示する「VOCA展2026」は、2026年3月14日〜29日に東京・上野の上野の森美術館で開催される。

 なお 「VOCA展」をめぐっては、同展実行委員会と上野の森美術館が昨年、「『VOCA展』に関するハラスメント防止のためのガイドライン」を制定。キュレーターが推薦委員となり、1人(組)の作家を推薦するという独自の構造が孕みうる様々なハラスメントを防止することも「推薦委員の行動規範」として定められた。