2025.7.25

今週末に見たい展覧会ベスト8。「上村松園」展から歌舞伎町の春画展まで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

展示風景より、中央が上村松園《蛍》(1913)
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もうすぐ閉幕

特別展「生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち」(山種美術館

展示風景より、中央が上村松園《蛍》(1913)

  東京・広尾の山種美術館で開催されている、特別展「生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち」が7月27日閉幕する。レポートはこちら

 「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願」と語った日本画家・上村松園。この言葉どおり、清らかで気品に満ちた松園の作品は、いまもなお多くの人々を魅了し続けている。

 本展は、松園の誕生150年を記念し開催されるもの。数々の名品を取り揃えてその画業をたどるとともに、松園と同時代の画家から現在活躍中の若手作家に至るまで、女性の姿を描いた作品が紹介されている。

会期:2025年5月17日~7月27日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学・高校生 1100円 / 中学生以下 無料(付添者の同伴が必要)

 「企画展 死と再生の物語(ナラティヴ) ―中国古代の神話とデザイン」(泉屋博古館東京

展示風景より、中央は《鴟鴞尊》(中国・殷後期) 所蔵=泉屋博古館

 東京・六本木にある泉屋博古館東京で開催されている、「企画展 死と再生の物語(ナラティヴ) ―中国古代の神話とデザイン」が7月27日に閉幕する。レポートはこちら

 本展は、泉屋博古館(京都東山・鹿ヶ谷)所蔵の青銅鏡の名品を中心として、中国古代の洗練されたデザイン、その背景となった神話や世界観を紹介する展示となる。「動物/植物」「天文」「七夕」「神仙への憧れ」という主に4つの観点から、デザインの背景を読み解き、さらに日本美術に与えた影響についても理解を深められる機会となっている。

会期:2025年6月7日~7月27日
会場:泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
開館時間:11:00~18:00(金~19:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般1200円 / 学生600円 / 18歳以下 無料

 「Home Away from Home」(ポーラ ミュージアム アネックス

ホセ・パルラ「Home Away from Home」展(ポーラ ミュージアム アネックス)の展示風景より 画像提供=KOTARO NUKAGA

  東京・銀座にあるポーラ ミュージアム アネックスで開催されている、都市の記憶や移動の痕跡を、重層的な筆致と独自のカリグラフィーで描き出してきたアーティスト、ホセ・パルラの個展「Home Away from Home」が7月27日に閉幕する。レポートはこちら

 1973年にマイアミで生まれたホセ・パルラは、プエルトリコやキューバなど多様な移民文化の影響を受けながら育ち、都市生活と芸術の関係性を主題に、独自のビジュアル・ランゲージを築いてきた。

 現在はニューヨークを拠点に国際的に活動するパルラにとって、日本は20年以上にわたり何度も訪れてきた特別な場所であり、本展は彼にとって“もうひとつの故郷=Home Away from Home”をテーマに、その創作の軌跡と現在地をたどる貴重な機会となっている。

 なお同時開催している、東京・六本木のKOTARO NUKAGAでの個展は8月9日まで。

会期:2025年6月20日〜7月27日
会場:POLA MUSEUM ANNEX
住所:東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3F
開館時間:11:00〜19:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:無料

 今週開幕

 「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」(渋谷ストリーム ホール)

  渋谷ストリーム ホールで、建築家・内藤廣による展覧会「建築家・内藤廣 赤鬼と青鬼の場外乱闘 in 渋谷」が開幕した。会期は8月27日まで。

 同展は、2023年に島根県芸術文化センター「グラントワ」内・島根県立石見美術館で開催された大規模回顧展「建築家・内藤廣/Built と Unbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い」をもととしており、今回は、渋谷を舞台とするかたちで新たに企画されている。

 3フロアからなる会場は、それぞれ「学生時代から代表作まで」「近年作・Unbuilt作品」「都市の対比:渋谷と益田」の章立てで構成される。内藤の思考を「赤鬼」と「青鬼」の視点で紐解くとともに、全45点のプロジェクトを通じて、その約半世紀にわたる建築思考が多角的に紹介されている。

会期:2025年7月25日〜8月27日
会場:渋谷ストリーム ホール
住所:東京都渋谷区渋谷3-21-3 
開館時間:11:00〜20:00 
休館日:会期中無休 
料金:一般 1500円 / 大学生以下 1000円 / 未就学児 無料 ※学生料金は学生証を要提示

 「蔦重の眼 歌麿・写楽と浮世絵黄金時代」(MOA美術館

 静岡・熱海のMOA美術館で、浮世絵黄金期の文化を創出した版元、蔦重こと蔦屋重三郎(1750〜97)と、同時期に活躍した浮世絵師たちの作品を紹介する展覧会「蔦重の眼 歌麿・写楽と浮世絵黄金時代」が開幕した。会期は9月9日まで。

 蔦重は現在世界的人気を集めている喜多川歌麿(や、東洲斎写楽を起用するなど、新しい才能を見出す慧眼に長けており、浮世絵最盛期の立役者といわれている。

 本展では、蔦重の功績がわかる蔦重出版の歌麿・写楽の錦絵をはじめ、天明・寛政期から文化・文政期に活躍した鳥文斎栄之、歌川豊国、葛飾北斎ら絵師たちの錦絵や肉筆美人画を展観したものとなっている。

会期:2025年7月25日~9月9日
会場:MOA美術館
住所:静岡県熱海市桃山町26-2
開館時間:9:30~16:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:木(8月14日は開館)
料金:一般 2000円 / 大学・高校生 1400円 / 中学生以下無料

 「新宿歌舞伎町春画展ー文化でつむぐ『わ』のひととき」(新宿歌舞伎町能舞台)

 東京・新宿にある新宿歌舞伎町能舞台で、「新宿歌舞伎町春画展 ー 文化でつむぐ『わ』のひととき。」が開幕する。会期は7月26日~9月30日。

 本展はSmappa!Groupが主催し、企画を手塚マキ(Smappa!Group代表)が、アートディレクション/会場構成を林靖高(Chim↑Pom from Smappa!Group)が担当。監修は浦上蒼穹堂代表・浦上満が務める。浦上は「北斎漫画」の世界一のコレクターであり春画コレクターで、2013年ロンドン・大英博物館の「春画 日本美術の性とたのしみ」の出品者でスポンサーとして携わり、15年には東京・永青文庫で日本初の「春画展」を実現させた。

 本展では、浦上の春画コレクションのなかから、菱川師宣、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国芳など、江戸時代初期から幕末に制作された春画約100点が展示される。なお、18歳未満は入場不可となる。

会期:2025年7月26日~9月30日
会場:新宿歌舞伎町能舞台
住所:東京都新宿区歌舞伎町2-9-18 ライオンズプラザ新宿 2階

 葛飾北斎 富嶽三十六景(太田記念美術館

 東京・原宿にある太田記念美術館で、「葛飾北斎 冨嶽三十六景」が開幕する。会期は7月26日〜8月24日。

 世界的にも知名度の高い葛飾北斎「冨嶽三十六景」が、同館では2017 年以来となる約8年ぶりに一挙公開される。本展では、シリーズ全46図に加え、珍しい校合摺や後摺、また同作に着想を与えた『北斎漫画』や、北斎の若年期の版画作品、歌川広重や歌川国芳らの関連作品などもあわせて展示される。 加えて、北斎が描いた富士の風景と実際の「地形」との関係にも注目し、構図に影響を与えたと考えられる地理的要素を掘り下げ、北斎の創作意図に迫るものとなる。

会期:2025年7月26日〜8月24日
会場:太田記念美術館 
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
開館時間:10:30〜17:30 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(8月11日は開館)、8月12日 
料金:一般 1200円 / 大高生 800円 / 中学生以下無料

 「世界探検の旅―美と驚異の遺産―」(奈良国立博物館

グデア頭像 イラク 前22世紀

 奈良国立博物館で、奈良国立博物館開館130年・天理大学創立100周年記念特別展「世界探検の旅―美と驚異の遺産―」が開幕する。会期は7月26日~9月23日。

 本展は、天理大学附属天理参考館の膨大なコレクションのなかから厳選された約250件の貴重な資料を一堂に展示するもの。展示は、考古資料や民族資料を中心に構成され、「文明の交差する世界」「神々と摩訶不思議な世界」「追憶の20世紀」の3章で構成され、約6000年にわたる人類の歴史を探求する内容となる。

 天理参考館のコレクションは、世界中から集められた30万点に及ぶ膨大な資料群であり、とくに稀少な作品や初公開のものも含まれている。また、奈良国立博物館の仏教美術作品とともに展示され、訪れる者に時空を超えた世界探検の旅を提供するものとなる。

会期:2025年7月26日~9月23日
会場:奈良国立博物館 東・西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50番地
開館時間:9:30~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌火)
料金:一般 1800円 / 大高生 1300円 / 中学生以下無料