2025.7.30

森美術館名誉理事長・森佳子が「森現代芸術財団」を設立。海外キュレーター招聘とアワードを実施

森美術館の初代理事長を務め、現在は名誉理事長である森佳子が「森現代芸術財団」を設立。「キュレーターレジデンスプログラム」と「森アートアワード」を実施する。

森佳子 撮影=新津保建秀

 森美術館の初代理事長で、名誉理事⻑の森佳⼦が、⽇本の現代美術を国際的に発信することを⽬的とした⼀般財団法⼈森現代芸術財団(Mori Contemporary Art Foundation/MoriCAF)を設⽴した。同財団は海外キュレーター招聘と、アワードの実施という2つのプログラムによって活動する。

 森は本アワード設立について、次のようにコメントしている。

「⽇本には優れた才能のあるアーティストが数多くいるにもかかわらず、彼らが世界に紹介される機会がまだまだ限られているということです。⽇本の現代アートをもっと世界の舞台へ、との思いを⻑年抱いてきましたが、このたび、美術館という枠組みとは異なるかたちで、個⼈として継続的にアーティストを⽀援していくために、「森現代芸術財団」を設⽴致しました」(プレスリリースより)

 1つめのプログラムとなる「キュレーターレジデンスプログラム」は、日本の現代美術に関心を抱く海外在住のキュレーターを招聘し、日本で活動する様々なアーティスト、美術館、国際展、ギャラリーなどの調査、交流の機会を提供。その成果を海外の舞台で発信してもらうことで日本の現代美術の国際的な発信を後押しすることを目的としている。

 2つめのプログラムの「森アートアワード」は、日本の現代美術家のなかでも、とりわけ中堅作家が次のグローバルなステージへ羽ばたくための表彰制度として、「森アートアワード」を実施。2年に一度開催される本アワードでは、過去2年間に発表された優れた展覧会や作品をもとに日本国内の推薦委員によってアーティストが推薦され、国際選考委員会による書類選考を経て4名のファイナリストが選出される。その後、最終選考(プレゼンテーション等)を経て1名の最優秀賞受賞者を決定し、賞金1000万円と受賞を記念した作品展示の機会(森美術館との共催)を提供。ほか3名のファイナリストには、それぞれ賞金100万円が授与される。

 2026年度の選考委員は両プログラムに共通で、次のメンバーが務める。片岡真実(森美術館・館長、選考委員長)、ラーナ・デヴェンポート(南オーストラリア州立美術館・元館長[アデレード])、グレン・ラウリィ(ニューヨーク近代美術館・館長)、フランシス・モリス(テート・モダン 元館長[ロンドン])、スハーニャ・ラフェル(Ⅿ+・館長[香港])、ユージン・タン(ナショナル・ギャラリー・シンガポール 館長、シンガポール美術館・館長)。

 なお、7月30日よりキュレーターレジデンスプログラムの公募をスタート。また10月に、森アートアワード2026のファイナリストが発表予定となっている。