2025.10.23

世田谷文学館で「ドナルド・キーン展」が開催へ。キーンの偉業と日本文化の魅力を伝える

世田谷文学館で、日本文学者・ドナルド・キーンの偉業と日本文学の魅力をあらためて紹介する展覧会「世田谷文学館 開館30周年記念 ドナルド・キーン展  Seeds in the Heart」が開催される。会期は11月15日〜2026年3月8日。

展覧会ポスター
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 東京の世田谷文学館で、日本文学者・ドナルド・キーン(1922~2019)の偉業とあらためて日本文学の魅力を紹介する展覧会「世田谷文学館 開館30周年記念 ドナルド・キーン展  Seeds in the Heart」が開催される。会期は11月15日〜2026年3月8日。

 ドナルド・キーンはアメリカ・ニューヨーク生まれ。10代でアーサー・ウエーリ訳『源氏物語』と、日本思想史を教える角田柳作と運命的に出会い、日本・日本文化への深い関心を抱いた。戦後は、コロンビア大学大学院、ハーバード大学大学院で近松門左衛門など日本の古典作品を研究し、1953年には京都大学大学院に留学。この間に、生涯の友となる永井道雄や嶋中鵬二と出会い、谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫など様々な作家の知遇を得ることとなった。2011年の東日本大震災をきっかけに日本国籍を取得し、日本に永住。晩年まで精力的に活動し、古典から現代文学まで日本文学・日本文化をひろく海外に紹介した。おもな著作には『百代の過客』『日本文学史』『明治天皇』『ドナルド・キーン著作集』などが挙げられる。

ドナルド・キーン
画像提供=一般財団法人ドナルド・キーン記念財団
思い返せば、私が日本に来て、さまざまな刺戟を受けていたあの頃、日本文化は平安時代、元禄時代と比する黄金時代だった。そんな時代に日本に来て、その後も日本で生活し、さまざまな人に会い、そして書く場所を与えられたことを、私は心の底から幸福だと思っている。 

『ドナルド・キーン自伝』より

 同展では、日本人以上に日本・日本文学を知り、その魅力を伝え続けたドナルド・キーンの偉業と日本文化の魅力を紹介するものとなる。「黄金時代」と語るキーンが過ごした時代とはいったいどのようなものだったのか。展覧会を通じてこの問いに挑むことで、日本に生まれた我々にとって、これからのグローバル社会で生きていくための道標となるだろう。

ドナルド・キーン発 山本健吉宛書簡 1977年8月17日 世田谷文学館蔵
ドナルド・キーン筆 絵付皿「青島の秋を思い出ず」1985 個人蔵
ドナルド・キーン旧蔵“Seeds in the Heart:Japanese Literature from Earliest Times to the Late Sixteenth Century”(日本文学史 古代・中世篇) Henry Holt and Company 1993 個人蔵
2017年12月22日 自作の料理と
画像提供=一般財団法人ドナルド・キーン記念財団