細江英公と土門拳、初の二人展「Double Body―細江英公と土門拳」が開催へ。渋谷典子「竹の子族/映画の人びと」も同時開催
山形県酒田市の土門拳写真美術館で、特別展「Double Body―細江英公と土門拳」が開催される。会期は7月17日〜10月12日。また、渋谷典子「竹の子族/映画の人びと」を同時開催。会期は7月17日〜9月23日。

山形県酒田市の土門拳写真美術館で、特別展「Double Body―細江英公と土門拳」が開催される。会期は7月17日〜10月12日。細江英公(1933〜2024)と土門拳(1909〜1990)による初の二人展となる本展では、「肉体」をキーワードに両者の写真表現をたどる。
「肉体」を軸にたどる、細江英公と土門拳それぞれの写真表現
細江英公と土門拳は、近現代日本写真を代表する写真家であり、ともに山形県出身。本展は、世代も作風も異なる両者を「肉体」という視点から読み解く初の試みとなる。

細江英公は1933年山形県米沢市生まれ。幼少期に東京へ移住し、戦時下の学童疎開で再び山形へ帰郷。戦後の復興期に写真と出会い、学生時代から「富士フォトコンテスト」で最高賞を受賞するなど、早くから特異な才能を発揮した。
東京写真短期大学(現・東京工芸大学)を卒業してフリーランスとなった1950年代、写真界を席巻していたのは土門らが牽引する客観的な「リアリズム写真」だった。細江は、そうした記録としての枠組みに囚われない、より主観的で内面的な表現を目指し、1959年には東松照明や奈良原一高らと独立写真家集団「VIVO」を結成。《薔薇刑》(1961)や《おとこと女》(1960)、《鎌鼬》(1965)などを通じて人間の身体を実験的かつ劇的な写真表現へと昇華させた。

いっぽうの土門拳は1909年山形県飽海郡酒田町(現・酒田市相生町)生まれ。画家への夢を断念し、一時は農民運動に身を投じた土門は、24歳で写真館の内弟子となり、表現者としての新たな回路を見出した。1935年に名取洋之助(1910〜62)率いる「日本工房」に参画すると、最先端のフォトジャーナリズムを吸収し、報道写真家としての才能を開花させた。
時代が戦争に向け暗転していくなか、プロパガンダの前線に立つことを余儀なくされた土門は、国家が求める「演出された国策写真」に対し、深い葛藤と反発を抱いていた。戦後は「リアリズム写真運動」を牽引するも、その傍らでは戦時下の体験を原動力に、日本ならではの力強い写真表現を模索。「写真的肉体」という独自の言葉を掲げ、ヌード作品などを通して力強い身体性を表現した。
本展ではふたりが時代や社会に応答しながら築き上げた写真世界を比較し、その軌跡を多角的にたどる。会場では細江英公の作品として《銀座の乞食の母子》(1952)、《薔薇刑 作品6》(1961)、《鎌鼬 作品17》(1965)を展示。土門拳の作品は《横須賀海兵団 訓練 運動》(1936)、《皮膚に関する八章 第一章 擽感》(1948)、《三島由紀夫の衣・食・住》より(1955)など、両作家を代表する作品が並ぶ。また、これまで公開されていなかった約30点の土門作品も紹介される。
渋谷典子展も同時開催
同時開催のKDMoP Photo Selectionでは、酒田市出身の写真家・渋谷典子による「竹の子族/映画の人びと」を開催。1970年代に細江英公も講師を務めた「WORKSHOP写真学校」で東松照明と森山大道に学んだ渋谷の仕事を紹介する。会期は7月17日〜9月23日。


本展では、原宿の歩行者天国に集った若者たちを写した「竹の子族」(1979〜1982)と、高倉健や吉永小百合ら映画人を捉えた「映画の人びと」(1982〜99)の2シリーズを中心に、近年撮影した酒田の風景や資料なども展示される。
会期中には、「写真家と写真美術館」をテーマとしたトークイベントや学芸員によるギャラリートークのほか、渋谷典子によるギャラリートーク、サウンド・パフォーマンスを組み合わせたナイト・ミュージアムなど関連イベントも予定されている。





