2025.6.4

帝国ホテル 京都の客室イメージが公開。新素材研究所・榊田倫之がデザイン

2026年春に開業が予定されている帝国ホテル 京都。その一部客室のイメージパースが公開された。

最上位スイート「インペリアルスイート」完成予想イメージ ©︎帝国ホテル 京都
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 帝国ホテルが京都市東山区に2026年春に開業させる「帝国ホテル 京都」(今年10月竣工予定)。その一部客室のイメージパースが公開された。

 帝国ホテル 京都は、1936年に竣工した京都・祇園甲部歌舞練場敷地内の劇場建築「弥栄会館(やさかかいかん)」の一部を保存・活用するもので、帝国ホテルブランドのホテルとしては、東京、上高地、大阪に次いで4軒目。96年開業の帝国ホテル大阪以来、30年ぶりの新規開業となり、「新しい時代を担うラグジュアリーホテル」と位置付ける。

「帝国ホテル 京都」の完成予想図 出典=大林組ウェブサイト

 建築は、2001年に国の登録有形文化財に指定された(2011年に京都市の歴史的風致形成建造物に指定)弥栄会館の外観を継承する本棟と、増築する北棟の2棟で構成。外観で印象的な屋根は、劣化していたため新たにつくり変え、銅板を使用して、オリジナルの形状と寸法を忠実に再現。また外壁は解体前建物全体の10.6パーセントにあたる1万6387枚のタイルを「生け捕り」して再利用される。いっぽう客室を含む内装デザインは、杉本博司とともに「新素材研究所」を率いる建築家・榊田倫之が手がける。

内装コンセプトは「帝国、舞う」

 内装デザインのコンセプトは、「帝国、舞う」。弥栄会館の素材や意匠とともに、場所の記憶の断片を新旧の調和をはかりながら新たな空間に編み込み、継承することを意図したという。榊田は「1200年の時を超えて、普遍的な景色を体感してほしい」と語っており、「古いものが、新しい」を掲げる新素材研究所らしさが存分に発揮されたデザインが期待される。

スケッチ「帝国、舞う」
©︎帝国ホテル 京都

 客室は異なる建築構造や眺望を特徴にした3つのエリアで展開。保存建築の意匠を重んじる保存エリア(本棟南西面)の客室は、柱や梁、窓枠などが、弥栄開館の名残を感じられるデザインとなる。

保存エリア(本棟南西面)
©︎帝国ホテル 京都

1泊300万円のインペリアルスイートも

 改築エリア(本棟北東面)は、弥栄開館時代のシルエットを生かしつつ、モダンな設えとなり、また室内は屋久杉など日本の素材をふんだんに使用。広い窓からは北山の稜線を望むことができる。

改築エリア(本棟北東面)
©︎帝国ホテル 京都

 北東増築エリアは帝国ホテルとして初めて畳を設た客室で、日本建築の精神を現代的に表現したものとなる。

北東増築エリア
©︎帝国ホテル 京都

 なお改築エリアの6階には193平米のインペリアルスイート(1泊300万円、税・サービス料込)も配置されており、北・東の2面に広がるテラスからは、祇園の街並みや東山の眺望を楽しむことができる。また弥栄会館の建築を特徴づける「鐘塔」での特別な体験も提供予定だという。

最上位スイート「インペリアルスイート」完成予想イメージ
©︎帝国ホテル 京都

 インバウンドが盛り上がりを見せる京都では様々なラグジュアリーホテルが存在感を示しているが、祇園の中心部に開業する帝国ホテル 京都はさらに大きなインパクトを与えるものとなりそうだ。なお宿泊予約は今年秋から開始される。