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2025.3.13

霞会館記念学習院ミュージアムが開館。皇族・華族ゆかりの品々ずらり

学習院大学に新たな大学博物館「霞会館記念学習院ミュージアム」が誕生。そのリニューアルを記念した特別展「華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」がスタートした。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より
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 学習院大学に新たな大学博物館「霞会館記念学習院ミュージアム」が誕生。そのリニューアルを記念した特別展「華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ」がスタートした。会期は5月17日まで。

 学習院大学史料館は、1949年に開学した学習院大学の附置研究施設として75年に設立。開館以来、史・資料の収集・保存、調査・研究、展示・公開 を行い、数多くの展覧会も開催してきた。そのコレクションは古文書、絵画、工芸など25万点を超え、なかでも皇族・華族ゆかりの品々は、貴重な史・資料、美術品群と言える。

 同展は、霞会館記念 学習院ミュージアムの柿落としとなるもの。「学習院」「皇族・華族」に関する史・資料・美術品を収集し、調査研究を続けてきた同館のコレクションのなかから、皇族・華族ゆかりの品々を展覧し、日本のパトロネージュの一端を紹介。職人たちの庇護を目的に制作された工芸品、皇族・華族らの暮らしを彩った調度品や身の回りの品々、儀礼で用いられる装束やドレス、絵画、工芸、古文書、文学史料など約100点を展覧できる機会となっている。

学習院大学史料館 リニューアルされたミュージアムは、建築家・前川國男により設計されたかつての大学図書館を博物館施設としてリノベーションしたものとなる

 会場は大きく分けて2章で構成。「1章 芸術のパトロネージュ」では、天皇家をはじめとする国を支えた人々が、いかに伝統や芸術を重んじ、国の伝統技術や産地を支えてきたかをうかがうことができる下賜品が並べられている。

展示風景より、《こもちひじり物語絵巻》 室町後期 水野家旧蔵

 ここでは、平安時代に築かれた独自の貴族文化を伝え、現代にまで発展させてきたことがわかる「絵画」や、天皇家や宮家らが積極的に製作依頼を行い、産地や技術の継承を図ってきた「工芸」、そして日本初の美術学校である工部美術学校出身の松室重剛が学習院にて教鞭をとり、国内の「芸術」に大きな役割を果たしたことが、この「絵画」「工芸」「芸術」という3つのテーマから紹介されている。完成した品々は天皇家から宮家へ、宮家から華族へと下賜されることで一般に広く伝わり、現代まで残されてきたのだという。

展示風景より、幹山伝七《色絵金彩鳳凰文煎茶碗皿》(1872〜87)、有栖川宮家より男爵西紳六郎へ下賜(1889)
展示風景より、『白樺』(1910ほか)

 「2章 伝統文化のパトロネージュ」では、1975年に設立された学習院大学史料館が所蔵品から、名家の古文書や皇族・華族がかつて暮らしのなかで使用していた名品が並ぶ。

 例えば、上皇后陛下が1998年のデンマーク訪問の際などに着用されたという《ローブ・モンタント》(展示替えあり)や、北白川宮富子妃が所用したとされる《紅地雲立涌地文萌黄白段替向鳳凰丸上文二陪織物袿袴》などの服飾品、ほかにも洋食器セットや皇室での御慶事の際に下賜される菓子器《ボンボニエール》など、なかなかお目にかかることのできないものばかりだ。

展示風景より、《ローブ・モンタント》(3月14日〜22日、計4回展示替えあり)、上皇后陛下より学習院へ下賜
展示風景より、《紅地雲立涌地文萌黄白段替向鳳凰丸上文二陪織物袿袴/緋長袴/沓》 北白川宮家旧蔵
展示風景より、香蘭社《色絵萩鳥文洋食器セット》 山階家旧蔵
展示風景より、《ボンボニエール》

 また同展横では、学習院の教育にまつわる常設展示も実施。こちらでは、歴史年表や、ランドセルやピアノといった史料、ほかにも乃木希典が寺内正毅に送った遺書や、同ミュージアムの設計にまつわる史料も公開されている。

 滅多に見ることができない学習院大学のコレクションの数々。この機会にぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

展示風景より
展示風景より、「乃木希典遺書」(1912)、乃木希典から寺内正毅へ 寺内家旧蔵
展示風景より。前川國男によって設計されたかつての大学図書館に関する史料