EXHIBITIONS

ザ・トライアングル

迎英里子:approach 3.1

2025.03.29 - 06.01
 京都市京セラ美術館で「ザ・トライアングル 迎英里子:approach 3.1」が開催される。

 迎英里子は1990年兵庫県生まれ。2015年に京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了した。おもな展覧会は、国際芸術祭「あいち2022」(墨会館・小信中島公民館、2022)、「ARTS & ROUTES -あわいをたどる旅-」(秋田県立近代美術館、2020)、「OPEN SITE 2017‒2018 『不純物と免疫』」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2017)など。

 迎は、わからないことと理解することのあいだにある距離を縮めていくことを作品の中心に据えてきた。その作品制作は、自らが関心を寄せる様々な事象を対象とし、リサーチをするところから始まる。

 身近にあるものを素材とした彫刻や装置を自作し、それらを操作しながら、リサーチの対象の内部の働きを単純で物質的な動きへと分節化。そうした一連の動きを記録した映像も含めたインスタレーション作品は、いずれも近づくことを意味する「approach(アプローチ)」と題されている。

 この「アプローチ」にはふたつのベクトルが含まれている、ひとつは迎自身が関心を寄せる対象への理解を深めていくこと、もうひとつは一見すると何を意味しているか分からない個別の造形やパフォーマンスを通じて、鑑賞者が対象を理解していくことを指している。ただしその道程は予め作家が用意したものを辿るのではなく、誤読も含みながら鑑賞者が進むものと言える。

 本展で取り上げる「月経」は、女性の身体において周期的に起きる生理現象を指す。この現象における、本来は眼にすることのない機能的な働きを、ボールを落とす、布を切り離す、などの動きに分解し、三次元空間のなかにとらえ直す。医学的知識や自ら装置を動かすというプロセスを飛び石のように伝いながら、迎は理解することへの歩みを進めていく。