EXHIBITIONS

鹿野震一郎「text」

鹿野震一郎 湿原 2025 oil on canvas 97.2 × 130.3 cm

 Satoko Oe Contemporaryで、鹿野震一郎による個展「text」が開催されている。

 鹿野震一郎(1982〜)は、トランプやサイコロ、床に小枝を配置してつくられた迷路といったモチーフを、視点や大きさや関係性を変えて描いてきた。

 本展に際して、鹿野は次のように述べている。

「これまで描いてきたオブジェやストロークに新たな要素を加えてひとつの文のような体系を形づくりながら絵に配置する。様々な時間や空間を織り込みながら画面が構成されていき、絵に描かれた断片をまたコピー・ペーストを繰り返したりして別のキャンバスへと移動させ、新たな連なりを生み出したり異なる意味へと変換し続ける。文字単体では意味を持たずとも、連なりによってテキストとしての意味を生じさせるように、絵のなかで様々な断片が連鎖することで新たなリズムや意味を獲得していく。また展示空間では絵のなかだけではなく、作品同士の関係性を新たにつなげ直したりして遊び続けられる。

 今回の会場であるSatoko Oe Contemporaryの空間に絵画を配置することは、アトリエで絵を描いているときとはまた異なった風景が出現するはずで、そこで私自身もまた鑑賞者としてどのようなテキストを編み直すことできるのかが楽しみだ。それぞれの鑑賞リズムを使いながら絵画内や展示空間といった限定された状況で、自由にそれぞれのテキストを編んでほしい」(展覧会ウェブサイトより)。

 本展では「text」という展覧会タイトルのもと、文章のようにモチーフが紡がれてつながり、場面が展開されていく。