2025.3.27

宇都宮美術館で「まど・みちおのうちゅう」展が開催。詩人による絵画作品を通じて、その生涯を追う

詩人として、小学校の教科書などでもその作品が知られているまど・みちお。その展覧会「まど・みちおのうちゅう―うちゅうの あんなに とおい あそこに さわる―」が、宇都宮美術館で開催される。

まど・みちお さーくる(未完) 1961.11.1 紙にクレヨン、削り 37.8×26.9センチメートル 周南市美術博物館蔵
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 詩人として、小学校の教科書などでもその作品が知られているまど・みちお(1909〜2014)。その展覧会「まど・みちおのうちゅう―うちゅうの あんなに とおい あそこに さわる―」が、宇都宮美術館で開催される。会期は4月27日〜6月29日。

 まどは、「ぞうさん」(1952)「やぎさん ゆうびん」(1951)などの童謡の作詞者として名を馳せたのち、人生の半ばを迎えた1961〜64年の4年間には抽象画の制作に没頭。「この世のどこにもない世界、この世にひとつきりの、自分の世界を描きたいと思ったのです」という言葉を残した。

 この「ことばでは いいきれない」ものに沈潜した時期を経て、1968年には第一詩集『てんぷらぴりぴり』を上梓。以後、100歳を越えるその生涯を通じて、平明で虚飾を排した詩境はますます深まっていった。

まど・みちお はる 1961.12.4 紙に水彩、ボールペン 37.8×27.0センチメートル 周南市美術博物館蔵 
まど・みちお 空(未完) 1962 紙に水彩、ボールペン、油性ペン 37.7×26.2センチメートル 周南市美術博物館蔵

 本展では、周南市美術博物館の収蔵品より精選した約60点を中心に、まどが描きためたこれらの絵画作品をまとめて展観。あわせて、創作ノートや原稿、編集者時代に手がけたカットなど約240点の資料から、詩人「まどさん」の生涯とその人物像をたどるものとなる。また、独学で絵画の勉強をしたまどの作品に見られる筆致やその技法にせまるための高精細8K映像も展示される予定となっている。

 ほかにも、会期中には講演会「まど・みちお どうよう・え・し」(5月18日)や、朗読会「まどさんをよむ(仮称)」(6月1日)、担当学芸員による見どころガイド(全4回)も実施予定。詳しくは公式ウェブサイトをチェックしてほしい。

まど・みちお 小さなデッサン 1963.7 紙にクレヨン、水彩 26.9×37.8センチメートル 周南市美術博物館蔵
まど・みちお タイトルなし 制作年不詳 紙に水彩、ボールペン 36.3×44.9センチメートル 周南市美術博物館蔵