EXHIBITIONS

wu-tang, Paul Descamps, urisakachinatsu

les trois pattes du canard アヒルの三本足

2025.08.15 - 08.27

DMデザイン : urisakachinatsu

 亀戸アートセンターは日本とフランスの若手作家、wu-tang、Paul Descamp、urisakachinatsuによる三人展「les trois pattes du canard アヒルの三本足」を開催する。

 本展は世代や時代感覚、または「いま」という時間のなかで作家たちが共通して持ち合わせている感覚が何なのかを探りたいという思いが起点となった展覧会である。

 wu-tangは、石をふたつに割り、いっぽうを焼成して変色させた後、もとの形に再接合することで彫刻作品を制作している。焼かれた石は、もう一つの現実として立ち現れ、そこに生まれた同一素材の差異が、並行する世界(パラレルワールド)の存在を静かに示唆し、また、作品に誰もが容易に思い浮かべることのできるハートやチューリップなど、記号化された単純なモチーフを用いることで美術の制度や前提への静かな抵抗を表している。また、石彫に限らず、日常生活の中で出会う身近なものや材料などの素材に興味を示し、それらを用いた実験的な作品も制作している。

 Paul Descampsは、ドローイングを起点に、絵画や陶芸へと展開してきたフランスのアーティスト。作品には、色彩や構成の強い意志が宿り、モチーフや線の選び方にも明確な個性と緊張感が漂う。その背景には、日本の漫画家たちからの影響があり、物語性と視覚的魅力が同時に浮かび上がるイメージの構築が特徴的。Paulにとって「絵画」とは、単なるイラストレーションではなく「絵画として成り立つ像」であるべきものであり、その感覚を探りながら慎重に取捨選択を重ねて制作を行っている。また、陶芸作品においても「3Dの絵画」と言えるような感覚で造形を行い、ドローイングの延長として立体にアプローチしている。ジャンルを横断しながら、「描くこと」への探求を続ける彼の作品は、直感的な強度と曖昧さが同居し、観る者それぞれの解釈と読解の余地を与えるようだ。

 urisakachinatsuは、グラフィックデザインや絵画、アパレル、アートグッズなど多岐にわたって活動を行う。作品は、抽象的な図形や色彩、テクスチャを感覚的に組み合わせて構成されている。ファッション誌やCDジャケット、幼少期の個人的な記憶や憧れの積層が作品の中に表れている。

 本展では、国や言語を超えて活動する同世代の作家たちの感性や視点に着目している。作品を通して、彼らの作家たちのあいだに流れる無意識のつながりを、確かめてみてほしい。