ドナルド・キーン展　Seeds in the Heart

　世田谷文学館で「世田谷文学館 開館30周年記念 ドナルド・キーン展　Seeds in the Heart」が開催される。

　ドナルド・キーンは、アメリカ・ニューヨーク生まれの日本文学研究者・文芸評論家。1938年、16歳でコロンビア大学に入学し、アーサー・ウエーリ訳『源氏物語』と恩師・角田柳作との出会いを契機に日本文学への関心を深めた。第二次世界大戦中には米海軍日本語学校で日本語を習得し、語学将校として従軍。戦後はコロンビア大学およびハーバード大学で日本文学を研究し、53年に京都大学大学院へ留学した。谷崎潤一郎や川端康成、三島由紀夫らとの交流をかさね、帰国後はコロンビア大学教授として日本文学を世界に紹介。2011年、東日本大震災を機に日本国籍を取得し、2019年に96歳で逝去。文化勲章をはじめ多くの栄誉を受けた。

　本展では、世田谷文学館の開館30周年を記念し、キーンの研究人生と日本文学への深い愛情を紹介する。キーンは「私が日本に来てさまざまな刺戟を受けていたあの頃、日本文化は平安時代、元禄時代と比する黄金時代だった」と回想しており、その言葉は彼が見つめた日本文化の成熟と変化を象徴している。

　また本展覧会では、キーンの生涯と功績を通して、キーンが「黄金時代」と呼んだ時代の日本文学の豊かさを再考する機会を提供する。日本文学を世界に広めたその活動を振り返ることで、現代における日本文化の意義と継承のあり方を見つめ直す展覧会となっている。