ユニクロが「UT」で挑んだピカソ&マティス。財団も認めた色彩へのこだわり
これまで数々のアーティスト・美術館とコラボレーションしてきたユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」が、今年初めてアンリ・マティス、パブロ・ピカソのアイテムを発売中だ。各財団との綿密な調整を経て実現したその背景に迫る。

UT、初のピカソ・マティスコラボ
アートや音楽、映画、アニメまで、古今東西にわたるクリエイティブをTシャツに落とし込み、多くの人々に親しまれてきたユニクロのグラフィックTシャツブランド「UT」。なかでも、KAWSやアンディ・ウォーホル、ジェフ・クーンズといった現代アートのスターたちのコレクションは、即完売を繰り返す商品もあるほど大きな反響を呼んできた。
現在はアンリ・マティスとパブロ・ピカソ、20世紀を代表する二人の画家とコラボレーションしたUTが販売されている。多くのアートプリントTシャツが5000円〜1万円を相場とするなかで、UTはどのコラボレーションも手に取りやすい価格(今回のコラボレーションはすべて1500円)。アートファンはもちろん、普段アートに親しみがない人や、様々な理由で美術館やギャラリーにアクセスしづらい人も手に取りやすい。UT担当者のなかには元美術館勤務者もおり、「美術館に行かない人も、ユニクロには一度は入ったことがあるはず。近くのユニクロでUTをきっかけに好きなアーティストを見つけたり、数多くのコレクションのなか中からお気に入りのUTを選び、自分の個性を表現できたりと、“あらゆる人の生活をより豊かにするための服”としての役割を担える」とUTに携わることのやりがいを話す。
UTにおけるアーティストとのコラボレーションにおいて、人々が満足する価格と品質を保つことは簡単ではない。アートが持つ精神性も含めて、人々に広く正確に届けることを重要としながら、ユニクロとして提供できる価格帯やデザインに落とし込む必要があるからだ。色彩の選定からデザインの落とし込み、権利関係まで、アーティストサイドとの密なコミュニケーションと多くの調整を経て実現するというUTのアートプリントTシャツ。とくにピカソとマティスは、今回が初めてのコラボレーションであり、またそれぞれ数々の名画を生み出した巨匠ということもあって、その制作過程には数々のこだわりが存在したようだ。