2025.7.25

愛知県、全国初となる共同収蔵庫を常滑に整備へ。一般公開も視野

愛知県が、全国でも初めてとなる大規模な共同収蔵庫の整備に乗り出す。

愛知県美術館が入る愛知芸術文化センター

 日本のみならず世界でも大きな課題となっている、ミュージアムの収蔵庫問題。これを解決すべく、愛知県が全国でも初となる政策に乗り出した。

 愛知県は、同県が運営する愛知県美術館愛知県陶磁美術館、そして愛知県立芸術大学が、今後も美術品等の保存及び収集活動等を継続するための収蔵スペースを確保していくため、全国初となる共同収蔵庫の整備を推進する。

 整備候補地となったのは、常滑市奥栄町(元愛知県立常滑高校敷地)。敷地面積は5万9043平方メートル。完成は2030年度となっており、世界的なトレンドとしても注目される収蔵環境の一部公開する機能(見せる収蔵庫)を付与する予定だ。

 現在、それぞれの収蔵点数は愛知県美術館が約9100件、愛知県陶磁美術館が約8800件、愛知県立芸術大学が約1900件。ミュージアムの収蔵点数は原則として減ることはなく、増え続けるのが一般的だ。いっぽうで収蔵庫の面積は限られており、日本のみならず世界のミュージアムでも収蔵庫が不足する問題に面している。公益財団法人日本博物館協会の「日本の博物館総合調査報告書」(令和元年度版)では、収蔵庫が資料によってどのくらいの割合を占めているかという調査に対し、「9割以上(ほぼ、満杯の状態)」という館が全体の33.9パーセント、「収蔵庫に入りきらない資料がある」という館も23.3パーセントにおよぶ。

 愛知県は昨年、愛知県美術館と愛知県陶磁美術館について地方独立行政法人化させ、2館一体運営とする方針を明らかにしており、その狙いのひとつに「運営の効率化」を挙げている。今回の共同収蔵庫も、こうした動きと連動するものと見られる。なお、詳細な整備推進計画の策定は今年12月頃になる予定だ。