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2026.7.2

山と一緒に楽しみたい美術館・アートスポットベスト10(西日本)

全国の美術館・博物館のなかには山とともに楽しめるスポットも少なくない。ここでは山も一緒に楽しめるミュージアムのなかから、西日本エリアでとくに注目したい10ヶ所をピックアップしてお届けする。※本記事は7月3日24時まですべての方に全文お読みいただけます。

奈義町現代美術館
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飛驒高山美術館(岐阜県高山市)

 飛騨高山は古くから山々とともに発展してきた城下町。季節ごとに表情を変える北アルプスを見渡す高台に位置するのが飛驒高山美術館だ。閉館した同名の旧美術館が所蔵していた約850点におよぶコレクションを引き継ぎ、2024年に「サンクチュアリコート高山 アートギャラリーリゾート」に併設する美術館としてリニューアルオープンしている。

展示室4「アートラウンジ」

 館内では、アール・ヌーヴォー、アール・デコを中心とした装飾芸術を紹介。エミール・ガレ(1846〜1904)の代表作である花器《フランスの薔薇》(1900頃)をはじめとするガラス工芸や、ルネ・ラリック《シャンゼリゼ・ショッピング・アーケイドの噴水》(1926)など、世界各地から集められた名品が並ぶ。展示は「ガレの杜」「うつろいの間」「アール・デコ」など5つのテーマで構成され、自然光や照明、音響、香りによって作品の印象が移ろうよう演出されている点も見どころ。ガレが残した「私のルーツは森の奥深くにある」という言葉をテーマに据えた展示室では、飛騨の森林風景とガラス作品の両方を鑑賞できる。

住所:岐阜県高山市上岡本町1-124-1
電話:0577-40-1007
開館時間:10:00~15:00 ※入場は閉館の30分前まで
休業日:無休
料金:一般 1000円(ホテル宿泊者、サンクチュアリコート高山メンバーは無料) / 小学生以下無料

MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市)

 古くから焼き物の里として知られる信楽。その山あいの自然に囲まれて位置するのがMIHO MUSEUMだ。設計を手がけたのは、ルーヴル美術館のガラスのピラミッドでも知られるI.M.ペイ(1917〜2019)。周囲の景観を損なわないよう、建物の約8割を地下に埋設しており、桜や新緑、紅葉など、春夏秋冬の山の景色とともに展示空間を歩くことができる。美術館へはトンネルと吊橋を渡って向かうアプローチが設けられ、中国・東晋の詩人、陶淵明(365〜427)が漢詩『桃花源記』に描いた「桃源郷」の世界へと導かれるような体験そのものが鑑賞の始まりとなる。

MIHO MUSEUM

 館内では、日本美術をはじめ、中国、西アジア、南アジア、エジプトなど古代文明の美術を中心に展示。約3000件におよぶコレクションから、テーマに応じて展示替えが行われる。南館ではガンダーラ仏やエジプト美術などシルクロードをめぐる文化交流を紹介。北館では、春・夏・秋の開館ごとに、内外からの出陳を含めテーマを定めた特別展を開催している。オリジナルグッズを揃えたミュージアムショップや、無肥料・無農薬の厳選食材を使用した喫茶、レストランも併設されており、山々に抱かれて1日ゆったりと過ごせる美術館だ。

住所:滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300
電話:0748-82-3411
開館時間:10:00~17:00
休館日:月(祝日の場合は翌平日)

アサヒグループ大山崎山荘美術館(京都府大山崎町)

 京都と大阪の境にそびえる天王山は、古くから交通の要衝として知られ、ハイキングコースや史跡をめぐる散策スポットとしても親しまれてきた。その南麓、緑に囲まれた山腹に建つのがアサヒグループ大山崎山荘美術館だ。約5500坪の庭園に佇む大山崎山荘は、実業家・加賀正太郎(1888〜1954)が1910年代から約20年をかけて築いた別荘を保存・再生したもので、現在は本館に加え、安藤忠雄(1941〜)が設計した「地中の宝石箱」と「夢の箱」が点在する。歴史的建築と現代建築、そして季節の移ろいによって表情を変える天王山の自然が一体となった景観が魅力だ。 

アサヒグループ大山崎山荘美術館

  コレクションは、アサヒビール初代社長・山本爲三郎(1893〜1966)の旧蔵品を核とし、民藝運動にゆかりのある作品や近代・現代美術を幅広く収蔵。なかでも印象派の巨匠、クロード・モネ(1840〜1926)の「睡蓮」連作(1914〜17)は、美術館の象徴的な所蔵作品として知られ、「地中の宝石箱」で自然光とともに鑑賞することができる。また、河井寬次郎(1890〜1966)や 濱田庄司(1894〜1978)、バーナード・リーチ(1877〜1979)などの民藝運動を代表する作家の作品も充実。年4回の企画展を開催し、企画展ごとにあわせて常設展示の展示替えを行っている。

住所:京都府乙訓郡大山崎町銭原5-3
電話:075-957-3123(総合案内)
開館時間:10:00~17:00
休館日:月(祝日の場合は翌平日)、年末年始、展示替などの臨時休館あり

四国村ミウゼアム(香川県高松市)

 瀬戸内海に位置する屋島。その山麓に広がる約5万㎡の敷地に位置するのが四国村ミウゼアムだ。源平合戦の舞台として知られる屋島は、山上から瀬戸内の多島美や讃岐山脈を一望でき、ハイキングや散策の目的地としても親しまれている。豊かな自然のなか、四国四県から移築・復原された33棟の古民家や歴史的建造物が点在する本施設では、起伏ある園内を巡りながら、建築や民俗文化に触れることができる。

四国村ミウゼアム 四国村ギャラリー外観

 園内では、江戸時代から大正時代にかけて建てられた住宅や作業小屋、醤油蔵、砂糖しめ小屋、芝居小屋などを公開。当時の暮らしを伝える民具とともに、四国の風土が育んだ生活文化を立体的に紹介している。また、安藤忠雄設計による四国村ギャラリーでは、西洋近代美術やオリエント美術、彫刻などを展示。川添善行が地形を生かして設計したエントランス「おやねさん」や茶堂、讃岐うどんを提供する飲食店も設けられている。

住所:香川県高松市屋島中町91
電話:087-843-3111
開館時間:9:30~17:00
休館日:火(祝日の場合は翌日)

足立美術館(島根県安来市)

  島根県東部に位置する安来市は、中国山地の自然豊かな地域。季節の移ろいとともに表情を変える山並みを背景とした日本庭園を有する足立美術館は、日本庭園と近代日本画をともに楽しめる美術館として知られる。1970年、実業家・足立全康(1899〜1990)によって開館した同館。「庭園もまた一幅の絵画である」という理念のもと、周囲の山々を借景に取り入れ、5万坪に及ぶ庭園と展示空間を調和させている。館内では、大きな窓越しに庭園と山並みを眺めながら、移ろう四季の風景を鑑賞の一部として味わうことができる。

足立美術館 庭園 枯山水庭(夏)

 コレクションは近代日本画を中心に約2000点を収蔵。横山大観(1868〜1958)の作品約130点をはじめ、竹内栖鳳(1864〜1942)、川合玉堂(1873〜1957)、上村松園(1875〜1949)ら近代日本画を代表する作家の作品を所蔵する。また、陶芸や童画なども収集し、多角的に作品を紹介している。

住所:島根県安来市古川町320
電話:0854-28-7111
開館時間:4月~9月 9:00~17:30、10月~3月 9:00~17:00
休館日:年中無休 ※新館のみ展示替え休館あり
料金:大人 2500円 / 大学生 2000円 / 高校生 1000円 / 小中学生 500円 

奈義町現代美術館(岡山県勝田郡奈義町)

 岡山県北東部、中国山地に連なる那岐山は、古くから信仰の対象として親しまれ、新緑や紅葉に恵まれた登山の名所でもある。その山麓に建つ奈義町現代美術館は、「作品と建築が半永久的に一体化した美術館」として1994年に開館した。

奈義町現代美術館

 建築を手がけたのは磯崎新(1931〜2022)。同館は那岐山の景観を前提に計画されており、「太陽」「月」「大地」の3つの展示室は、この土地固有の自然条件や軸線に基づいて配置されている。山容を借景とする喫茶室なども設けられており、山そのものが美術館を構成する重要な要素となっている。常設展示は、荒川修作+マドリン・ギンズ《遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体》(1994)、岡崎和郎《HISASHI-補遺するもの》(1994)、宮脇愛子《うつろひ-a moment of movement》(1994)の3つの美術館のために制作された恒久作品で構成される。

広島市現代美術館(広島県広島市)

 広島市街を見渡す比治山は、桜の名所として知られるほか、散策路や展望台が整備された市民の憩いの場でもある。その比治山公園の頂に建つ広島市現代美術館は、1989年に全国初の現代美術を専門とする公立美術館として開館した。建築を手がけたのは黒川紀章(1934〜2007)。美術館は比治山の起伏を生かして設計されており、周囲の樹木や地形と調和するよう建物を配置。比治山という場所そのものを建築に取り込み、自然と都市、そして美術を結びつける空間となっている。アプローチプラザの屋根は、原爆ドームと爆心地を結ぶ軸線に沿って設計されるなど、広島という土地の記憶を建築に反映している点も特徴だ。2023年には大規模改修を経てリニューアルオープンし、黒川の設計思想を継承しながら、より開かれた美術館へと生まれ変わった。 

広島市現代美術館

 収蔵作品は約1700点。「ヒロシマと現代美術」を重要な収集方針のひとつに掲げ、国内外の現代美術を幅広く紹介している。館内には、ヘンリー・ムーア《アーチ》(1963〜69)、《アトム・ピース》(1968)、アンディ・ウォーホル《マリリン》(1967)など戦後美術を代表する作家の作品を収蔵。比治山の自然や広島市街の風景とともに、美術と都市の歴史を重ね合わせながら楽しむことができる。

住所:広島県広島市南区比治山公園1-1
電話:082-264-1121
開館時間:10:00~17:00
休館日:月(祝日の場合は翌平)、12月27日~翌年1月1日

北九州市立美術館 本館(福岡県北九州市)

 北九州市街を見渡す丘陵地「美術の森公園」に建つ北九州市立美術館 本館。同館は緑豊かな高台という立地を生かして計画された。磯崎新の設計のもと、1974年に開館。両端に突き出した展示室が双眼鏡のように見える大胆な外観は「丘の上の双眼鏡」の愛称で親しまれており、館内の大きな開口部からは周囲の山並みや市街地を望むことができる。

北九州市立美術館 本館

 コレクションは約8000点にのぼり、19世紀末から現代までの国内外の美術を幅広く収蔵。クロード・モネ《睡蓮、柳の反映》(1916〜19)、ピエール=オーギュスト・ルノワール《麦わら帽子の女》(1880)、ジャン=ミシェル・バスキア《消防士》(1983)をはじめ、西洋近代美術から現代美術までの充実した作品群を紹介する。また、北九州ゆかりの作家や版画、浮世絵などの収集にも力を入れている。磯崎による建築と、美術の森公園の自然、国内外のコレクションが響き合い、街のランドマークとして親しまれている美術館だ。

住所:北九州市戸畑区西鞘ヶ谷町21番1号
電話:093-882-7777
開館時間:9:30〜17:30 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌日)、年末年始

つなぎ美術館(熊本県葦北郡)

 熊本県南部、不知火海に面し、背後に山々が連なる津奈木町。「海と山の豊かな自然」のあるこの町で、アートによる地域づくりの拠点として2001年に開館したのがつなぎ美術館だ。「緑と彫刻のある町づくり」の集大成として誕生した同館は、熊本県水俣・芦北地域における文化芸術活動の拠点として、地域に根差した展覧会や住民参画型アートプロジェクトを展開している。敷地内には斜面地を生かした屋外空間が広がり、美術館と舞鶴城公園展望広場を結ぶモノレールに揺られながら不知火海や町並みを眺めることができるのも特徴だ。

つなぎ美術館

 宮﨑静夫(1927〜2015)の代表的な連作「死者のために」シリーズをはじめとした熊本ゆかりの作家の作品を収蔵。地域の美術史をたどる収蔵品展も継続的に開催している。また、1984年から続く「緑と彫刻のある町づくり」プロジェクトによって、町内には佐藤忠良(1912〜2011)や岩野勇三(1931〜87)らによる彫刻作品が点在。美術館を起点に町へと足を延ばせば、海と山の風景のなかでアートを巡ることができる。

住所:熊本県葦北郡津奈木町岩城494
電話:0966-61-2222
開館時間:10:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:水(祝日の場合は翌日)、年末年始

鹿児島県霧島アートの森(鹿児島県姶良郡)

 霧島連山の西麓、標高約700mの栗野岳高原に広がる鹿児島県霧島アートの森。霧島錦江湾国立公園の自然に囲まれた野外美術館で、1999年に開館した。約13haの広大な敷地には、起伏に富んだ地形や森林を生かしたかたちで作品が配置されている。季節や天候、歩く速度によって作品の見え方が変化するのも、この美術館ならではの魅力だ。

鹿児島県霧島アートの森 アートホール

 屋外には、ジョナサン・ボロフスキー《男と女》(1994)、草間彌生《シャングリラの華》(2000)、アンディ・ゴールズワージー《ストーン・ピンヘッド》(1996)など、国内外の作家による恒久作品を展示。アートホールでは現代美術を中心とした企画展も開催される。登山や温泉で知られる霧島の雄大な自然とともに、屋外彫刻やインスタレーションを巡る時間は、この土地の魅力をより深く感じさせてくれるだろう。

住所:鹿児島県姶良郡湧水町木場 6340 番地 220
電話:0995-74-5945
開館時間:9:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月28日〜1月2日)、メンテナンス(2月15日〜2月22日)