2025.6.19

弓指寛治による「4年2組」展が開催。小学校のクラスメイトとして通学しながら制作した新作群が発表

東京・銀座にある銀座 蔦屋書店内のFOAM CONTEMPORARYで、弓指寛治による「4年2組」展が開催される。会期は6月28日~7月23日。

「こおりおに」 840×594×30mm 撮影=DUSTBUNNY
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 東京・銀座にある銀座 蔦屋書店内のFOAM CONTEMPORARYで、弓指寛治による「4年2組」展が開催される。会期は6月28日~7月23日。

 弓指寛治は1986年三重県生まれ。名古屋学芸大学⼤学院修了。ゲンロンカオスラウンジ新芸術校の第一期生として学んでいた2015年に、母の自死を経験。それ以降、死者への鎮魂を主なテーマとし、作品制作を続けている。過去に「第21回岡本太郎現代芸術賞」敏子賞、「VOCA展2021」佳作賞、「第2回絹谷幸二芸術賞」奨励賞などを受賞。2024年に開催された国立西洋美術館での「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」では山谷のドヤと上野のホームレスを主題とした作品を発表した。

 本展では、東京アートポイント計画「多摩の未来の地勢図」の一環として実施されている、学校連携プログラム「アーティストが学校にやってきた」を通じて、弓指が実際に昭島市立光華小学校4年2組のクラスメイトとして通学しながら制作した新作群が発表される。

 同プログラムは、「子供と戦争」について考えることを企図されたもの。弓指は深く子供たちと関わるため、半年前から、先生やアーティストといった「大人」ではなく児童の「クラスメイト」として4年2組に転入。朝の登校から下校の時間まで、一緒に授業やテストを受け、休み時間に鬼ごっこをし、給食を食べ、掃除をするといった行為のなかで、子供たちと同じ目線で時間を過ごしてきた。

撮影=山本晟嗣

 そのなかで、児童とともに防空壕跡などを巡るなどの機会も設け、過去と現在を重ねる対話を実施。地域に潜む記憶や遺構を子供の日常目線から掘り起こす機会をつくった。本展では、こうした弓指の実体験をもとに生まれた作品群が展示される。教科書や記念碑とは異なる「もうひとつの歴史の継承」を体感する機会となるだろう。

 なお会期初日には、昭島市立光華小学校の音楽と図工の先生による「授業」をアレンジしたワークショップが開催される。また7月6日には、関連イベントとして、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授かつメディアアーティストである八谷和彦と弓指の対談が、ゲンロンカフェで開催される予定だ。