2026.8.7

今週末に見たい展覧会ベスト7。奈良美智キュレーション展から大ゴッホ展、ボッティチェリまで

今週閉幕する/開幕した展覧会のなかから、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。なお、最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」の展示風景より、フィンセント・ファン・ゴッホ《夜のカフェテラス(フォルム広場)》(1888年9月16日頃) キャンバスに油彩 80.7×65.3cm クレラー=ミュラー美術館 © Collection Kröller-Müller Museum, Otterlo, the Netherlands
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もうすぐ閉幕

「奈良美智キュレーション展『地層の胎動』」(KOSAKU KANECHIKA

 KOSAKU KANECHIKAで、奈良美智キュレーション展「地層の胎動」が8⽉8⽇まで開催されている。

桑田卓郎《Untitled》(2024) Photo by Osamu Sakamoto © Takuro Kuwata, Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

 本展は、同廊初の試みとして、自らも陶芸作品を手がける奈良美智にキュレーションを依頼。植松永次、桑田卓郎、坂本紬野子、安永正臣による作品約30点によって構成されている。

 陶という素材を起点としつつ、各作家が異なる身体感覚および時間意識のもとで形成した作品群を展示。完成された様式や技巧に拘泥することなく、素材に刻まれた時間性、身体性、ならびに制御しきれない偶然性に着目する奈良美智の視点と作家たちの造形が呼応し、陶というメディウムの新たな見方を提示する機会となっている。

会期:2026年6月27日〜8月8日
会場:KOSAKU KANECHIKA Tennoz
住所:東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA ART COMPLEX I 5F 
開館時間:11:00〜18:00
料金:無料

「ニール・ホッド『Flowers of Memory』」(KOTARO NUKAGA 天王洲

 KOTARO NUKAGA 天王洲で、ニール・ホッドの個展「Flowers of Memory」が8⽉8⽇まで行われている。

ニール・ホッド《100 Years Is Not Enough》(2026)

 ニール・ホッドはニューヨークを拠点に活動するアーティスト。これまでテルアビブ美術館(イスラエル)やサラ・ヒルデン美術館(フィンランド)などで作品を発表してきた。2025年には「House of Dior New York」、26年5月には「House of Dior 心斎橋」でコミッション作品も展示された。

 本展では、シリーズ「100 Years Is Not Enough」を紹介する。本シリーズは、パンデミック期にホッドが自然のなかで過ごした時間を背景に制作された。リネンやキャンバスの上に重ねられた油彩とクロームに、酸やアンモニアの化学反応を加えて立ち上がる絵画を展示。風景画というジャンルを起点としながら、絵画の表面そのものを光と記憶が降り積もる場として再構成する。

会期:2026年7月4日~8月8日
会場:KOTARO NUKAGA 天王洲
住所:東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1階
電話番号:03-6433-1247
開館時間:11:00~18:00
料金:無料

「スープはいのち」(21_21 DESIGN SIGHT

 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2で、企画展「スープはいのち」が8月9日に終了する。レポート記事はこちら

展示空間を横断する大屋根

 本展は、スープを入り口に衣食住の根源を見つめる展示。水や塩、野菜などの素材が放つ物質としての気配、熱とともに変化するさま、器や空間との呼応、匙に託された所作、記憶や香りなどを手がかりに、生活をかたちづくる環境を「包む」という視点からとらえなおす。

 衣服や住まいという身体の外側の環境と、食という内側の環境を「身体を包む行為」として捉えてきたデザイナー・遠山夏未をディレクターに迎える。身体や環境、記憶や時間が折り重なるなかで、衣食住の根源に触れる体験の場を紹介する。

会期:2026年3月27日〜8月9日
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
住所:東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン 
開館時間:10:00〜19:00 ※入場は18:30まで
料金:一般 1600円 / 大学生 800円 / 高校生 500円 / 中学生以下無料

「三島由紀夫ダイアローグ『阿頼耶識の回廊』」(スクールデレック芸術社会学研究所

 スクールデレック芸術社会学研究所で「三島由紀夫ダイアローグ『阿頼耶識の回廊』」が8月9日まで開催されている。

友沢こたお《「阿頼耶の相貌 ──種子」Aspects of Alaya: Bija(The Karmic Seed)》(2025)

 本展は、三島由紀夫という実存を現代の表現者たちの知覚を通じて再起動される「現在進行形の問い」として提示するもの。会場では、三島の精神構造を模した円環状の回廊を構築し、観客の身体を三島の深層意識「阿頼耶識(あらやしき)」へと誘い込む構成となっている。

 展示室の中央、空間の重心には、複数の壁が織りなす多重構造の迷宮を設置。鑑賞者は、かさなり合う障壁の隙間や、穿たれた「のぞき穴」を介して、その奥に潜む展示物を「盗み見る」かのようなアプローチをする。この遮断と露出が交錯する仕掛けによって、隠蔽された深層意識「阿頼耶識」の核へと肉薄していく身体経験を創出する。出展作家は、友沢こたお、幸田森、池田謙。資料展示は、太宰治、寺山修司、北村小松、川島雄三、高木彬光。

会期:2026年6月24日~8月9日
会場:スクールデレック芸術社会学研究所
住所:東京都渋渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2階 スクールデレック芸術社会学研究所
電話番号:03-5722-6311
開館時間14:00~18:00
料金:無料

「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」(上野の森美術館

 今週閉幕ではないが、上野の森美術館での「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」の会期は残り数日となり、8月12日に閉幕する。レポート記事はこちら

展示風景より、左はフィンセント・ファン・ゴッホ《自画像》(1887)

 フィンセント・ファン・ゴッホ(1853〜90)は、画家としての活動はわずか10年ほどだが、彼が残した多くの作品と手紙から、苦悩に満ちた人生に立ち向かい、芸術へと昇華させる姿を見て取ることができる。生前ほとんど評価されなかったゴッホにいち早く注目し、作品の収集に取り組んだのが、オランダのクレラー=ミュラー美術館の創設者、ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869〜1939)だった。2回にわたり開催する「大ゴッホ展」は、すべて同館の所蔵作品で構成される。

 第1期となる本展では、バルビゾン派やハーグ派の影響を受けた草創期のオランダ時代に始まり、印象派を中心とする画家たちと交流したパリ時代を経て、南仏アルルで傑作《夜のカフェテラス(フォルム広場)》を描くに至るまでの、ファン・ゴッホの前半生に焦点をあてる。

会期:2026年5月29日~8月12日
会場:上野の森美術館
住所:東京都台東区上野公園1-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル/9:00~20:00)
開館時間:10:00~17:30(金土祝は9:00~19:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般 2800円 / 大学・専門学生・高校生 1600円 / 中学生・小学生 1000円 ※詳細は公式サイトを確認

今週開幕

「日伊修好通商条約締結160周年&シモネッタ歿後550年記念特別展 イタリアと日本の文芸作品に描かれた美しきシモネッタ」(丸紅ギャラリー)

 丸紅ギャラリーで、「日伊修好通商条約締結160周年&シモネッタ歿後550年記念特別展 イタリアと日本の文芸作品に描かれた美しきシモネッタ」が8月6日から開催されている。

キービジュアル

 本展は、日伊修好通商条約締結160周年と、ルネサンス期の美女シモネッタ・ヴェスプッチの没後550年を記念する企画展。丸紅が所蔵する日本唯一のサンドロ・ボッティチェリによるテンペラ画《美しきシモネッタ》(15世紀後半)を公開するとともに、シモネッタを題材としたイタリアと日本の文学作品に着目し、その背景にある思想や美意識を読み解く。

 イタリアの詩人アンジェロ・ポリツィアーノの『騎馬槍試合のための詩』や、辻邦生の小説『春の戴冠』を手がかりに、ボッティチェリの代表作《プリマヴェーラ(春)》(1482頃)にも通じるルネサンスの世界観を紹介。絵画と文学を横断しながら、「美しきシモネッタ」が時代を超えて受け継がれてきたイメージの源泉に迫る。

会期:2026年8月6日~9月30日
会場:丸紅ギャラリー
住所:東京都千代田区大手町1-4-2 丸紅ビル3階
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)※9月2日・9日・16日は~20:00(入館は19:30まで)
休館日:日・祝
料金:一般 500円

「奥村土牛―名作でたどる100年のあゆみ―」(山種美術館

 山種美術館で、開館60周年記念特別展「奥村土牛―名作でたどる100年のあゆみ―」が8月8日に開幕する。

 本展は、日本画家・奥村土牛(1889〜1990)の画業を、山種美術館が所蔵する135点におよぶ国内屈指のコレクションから紹介する回顧展。初期から最晩年までをたどる約60点を展示し、《鳴門》(1959)《醍醐》(1972)をはじめとする代表作を通して、その100年にわたる創作の軌跡を振り返る。

 また、院展出品作35点を一挙公開するほか、山種美術館創立者・山﨑種二との交流を伝える書簡や資料も展示。雄大な自然や動植物を温かな眼差しで描き続けた土牛の芸術と、美術館との深い関わりをあわせて紹介する。

会期:2026年8月8日~10月4日
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月(9月21日~23日は開館)、9月24日
料金:一般 1500円 / 大学生・高校生 500円 / 中学生以下無料