コンセプチュアル・アートの旗手、ジェームズ・ウェリングの新たな展開とは?
アナログやデジタルといった多様な手法を用いて写真作品を制作するジェームズ・ウェリングの個展が、ワコウ・ワークス・オブ・アートで開催される。会期は9月9日〜10月14日。
1951年アメリカ生まれのジェームズ・ウェリングは、カリフォルニア大学で美術を学び、74年に芸術博士号を取得。81年にはニューヨークのメトロ・ピクチャーズで個展を開催し、コンセプチュアル・アートの旗手として高い評価を受けた。写真を主な表現媒体とし、アナログやデジタル、フォトショップといったさまざまな手法で作品を展開している。
日本では8回目の個展となる今回は、最新の映像作品《Seascape(海景)》(2017)とともに、近作のシリーズからそれぞれ数点ずつ、すべてアジア初公開となる作品を展示。
日曜画家だった祖父が撮影した海辺のモノクロ映像をもとに、祖父が油彩で描いた海の風景から抽出したカラーサンプルを用いて着色した最新作《Seascape》(2017)では、音楽家でもあるウェリングの兄が音楽と効果音をつけた。
「Choreograph(コレオグラフ)」シリーズは、風景やダンスなどの写真を重ね、フォトショップのカラーチャンネルの偶然性を用いた作品群で、アナログ写真における多重露光のような概観を獲得している。ダンスを学んだことがあるウェリングならではの作品だ。
ロード・アイランドにある印刷会社の工場内を撮影した「Meridian(メリディアン)」シリーズや、出身地であるコネチカット州にある巨大なオークの木を撮影し、Epson9900で出力した「Oak Tree(オークの木)」シリーズなど、「写真についての写真」と評されてきたウェリングの作品が、デジタル技術の導入やプリント機材の変化によって新たな展開を見せる。