2025.6.4

カルティエ現代美術財団、パリの新拠点が10月25日にオープン。開幕展に600点超の作品を展示

カルティエ現代美術財団が10月25日、パリ中心部に新たな拠点をオープンする。開幕展「エクスポジション ジェネラル」では、財団の活動の集大成として約600点の所蔵作品を紹介する。

カルティエ現代美術財団の新拠点の外観 Photo © Luc Boegly
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 カルティエ現代美術財団が10月25日、パリのパレ・ロワイヤル広場2番地に新たな拠点をオープンする。開幕にあわせて、同財団の所蔵コレクションから約600点を展示する展覧会「エクスポジション ジェネラル」を開催する(会期は2026年8月末まで)。

 新たな拠点は、19世紀のパリ万博の一環として建設され、のちに百貨店「グラン・マガザン・デュ・ルーヴル」として長年親しまれた歴史的建造物を改修したものである。建築設計は、同財団の既存拠点(ラスパイユ大通り)も手がけたジャン・ヌーヴェルが担当。3層構造で総面積8500平方メートルにおよぶ施設内には、6500平米の展示エリアが設けられ、5つの可動式鋼鉄プラットフォームによって展示空間の高さや構成が柔軟に変えられるなど、革新的な設計が随所に施されている。

カルティエ現代美術財団の新拠点のイメージ
© Jean Nouvel / ADAGP, Paris, 2024

 開幕展「エクスポジション ジェネラル」は、1984年の創設以来、同財団のプログラムに参加してきた100名以上のアーティストによる作品を通じて、同館の芸術的なアイデンティティと40年にわたる活動の軌跡を紹介する。展示は個展形式とテーマ展示の2軸で構成され、建築、生物、科学、テクノロジーといった分野を横断する現代美術の多様性を提示する。

 展覧会タイトルは、19世紀にグラン・マガザン・デュ・ルーヴルで開催されていた工芸品・衣類の展示会「Expositions Générales(一般博覧会)」に由来。当時の社交と発見の場の精神を現代に継承し、都市の中心でひらかれた交流の空間を目指すという意図が込められている。

カルティエ現代美術財団の新拠点のイメージ
© Jean Nouvel / ADAGP, Paris, 2024

 さらに施設内には、展示空間に加えて、教育センター、書店、レストラン、120席の多目的ホール、そしてリヴォリ通りとサントノレ通りを結ぶパッサージュ(通路)などが設置され、来場者に多面的な文化体験を提供する。展示室を見下ろせる回廊や、自然光を取り込む大きな窓、屋上庭園なども計画されており、美術館そのものが都市に開かれたひとつの風景として構想されている。都市空間と歴史に開かれた新たな文化拠点として、今後の展開が注目される。