2026.6.26

オバマ大統領センターがシカゴに開館。シアスター・ゲイツらによる28点超のコミッション作品も設置

バラク・オバマ元米大統領とミシェル・オバマの歩みを伝える「オバマ大統領センター」が、6月19日にシカゴで開館した。ミュージアムや図書館、コミュニティ施設に加え、マーク・ブラッドフォードやシアスター・ゲイツ、ラシード・ジョンソンらによる28点超のコミッション作品を擁する新たな文化拠点となる。

オバマ大統領センター ミュージアムの外観 © The Obama Foundation
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 アメリカ第44代大統領バラク・オバマとミシェル・オバマの歩みを伝える複合文化施設「Obama Presidential Center(オバマ大統領センター)」が、6月19日にシカゴのジャクソン・パークで開館した。

オバマ夫妻の歩みと市民参加の歴史をたどる

 同センターは、オバマ財団(The Obama Foundation)が主導するプロジェクトとして構想されてきた施設だ。「人々が社会を変える力を学び、つながり、行動するための場所」を理念に掲げ、約19.3エーカー(約7万8104平米)の敷地内にミュージアム、フォーラム、図書館、スポーツ施設、庭園、広場などを備える大規模キャンパスとして整備された。

オバマ大統領センター The Women's Garden © The Obama Foundation

 施設の設計を手がけたのは、ニューヨークを拠点とする建築事務所、トッド・ウィリアムズ・ビリー・ツィン・アーキテクツで、シカゴのインタラクティブ・デザイン・アーキテクツが共同設計を担った。キャンパスの象徴となるのが、高さ約225フィート(約69メートル)のミュージアム・タワーだ。花崗岩で覆われた彫刻的な外観は、従来の大統領図書館とは異なる存在感を放ち、最上階にはシカゴ南部やミシガン湖を望む「Sky Room」が設けられている。オバマ夫妻はこの施設を、歴史を保存するだけでなく、市民の参加と対話を促す公共空間として構想したという。

シカゴ南部やミシガン湖を望む「Sky Room」の様子 © The Obama Foundation

 施設の中核をなすミュージアムでは、アメリカ初のアフリカ系大統領となったバラク・オバマと、ファーストレディとして活動したミシェル・オバマの軌跡を4フロアにわたって紹介する。2008年大統領選挙の熱狂を伝える展示「Yes We Can」や、オバマ政権時代の執務室を再現した実物大のオーバルオフィスなどが見どころとなっている。

ミュージアムの様子 © The Obama Foundation

 展示はオバマ夫妻の個人史にとどまらず、公民権運動や民主主義の発展、コミュニティ活動の歴史とも重ね合わせながら構成されている。館内は「Toward a More Perfect Union」「Working for the Common Good」「The People's House」「We the People」などのセクションに分かれ、市民参加と社会変革の可能性を来館者に問いかける内容となっている。

28点を超えるコミッションアート

 また、本センターの大きな特徴のひとつが、キャンパス全体に展開されるコミッションアートだ。館内外には28点を超える新作が設置され、その大半は無料で鑑賞できる。オバマ夫妻はホワイトハウス時代から芸術を公共的対話の重要な手段として位置づけてきたが、その思想はセンター全体にも反映されている。

ミュージアム北面のガラスファサードに設置されたジュリー・メレトゥ《Uprising of the Sun》(2026) © The Obama Foundation

 なかでも注目されるのが、ミュージアム北面のガラスファサードに設置された、エチオピア系アメリカ人アーティストのジュリー・メレトゥによる大規模作品《Uprising of the Sun》だ。2015年のセルマ行進50周年記念演説に着想を得たもので、歴史の複層性と社会変革のプロセスを抽象的なレイヤーとして表現している。

メインロビーに展示されるンジデカ・アクニリ・クロスビー《The Obamas: Springing Forth》(2026) © Njideka Akunyili Crosby Courtesy of the artist, Victoria Miro, and David Zwirner Commissioned by The Obama Presidential Center © The Obama Foundation

 また、メインロビーには、オバマ夫妻を描いた初の公式ポートレートとなるンジデカ・アクニリ・クロスビーの新作《The Obamas: Springing Forth》が展示される。家族写真や歴史資料、文化的イメージを重層的に織り込みながら、オバマ夫妻の歩みを支えた無数の人々とのつながりを描き出した作品だ。

 屋外空間では、マーティン・パーイヤーによるステンレス製彫刻《Bending the Arc》がジョン・ルイス・プラザに設置された。タイトルは公民権運動家ジョン・ルイスが繰り返し引用した「道徳的宇宙の弧は正義へと向かう」という言葉に由来し、社会変革は人々の不断の努力によって初めて実現するというメッセージを示している。

マヤ・リンによる水景彫刻《Seeing Through the Universe》(2026) © The Obama Foundation

 そのほかにも、マヤ・リンによる水景彫刻《Seeing Through the Universe》、キャリー・メイ・ウィームズ、ジェニー・ホルツァー、マーク・ブラッドフォード、ジェフリー・ギブソン、キキ・スミス、シアスター・ゲイツ、ラシード・ジョンソンらによる作品が各所に配置されている。シカゴを代表するアーティストから国際的な現代美術家まで、多様な視点を通じて民主主義、記憶、共同体、希望といったテーマが提示される。

マーク・ブラッドフォード《City of the Big Shoulders》(2026) © The Obama Foundation
ジェフリー・ギブソン《Yet With a Steady Beat》(2026) © The Obama Foundation

 なお、キャンパスは毎日一般開放されており、屋外作品や広場、庭園などの多くは無料で鑑賞可能。ミュージアムは日時指定チケット制となっている。同センターは、建築、展示、アートコミッションを通じてオバマ夫妻の思想とアメリカ社会の歩みを多角的に紹介する新たな文化拠点として、今後国内外から多くの来場者を集めそうだ。