2025.12.4

三輪瑛士「常なる無常」展がhide galleryで開催。視覚の揺らぎを描く新作を発表

視覚のプロセスに基づく独自の絵画表現で注目を集める三輪瑛士が、東京・渋谷のhide galleryで2年ぶりとなる個展「常なる無常」を開催する。会期は12月6日〜21日。

三輪瑛士 No.25101 2025 キャンバスに油彩 20F
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 東京・渋谷のhide galleryで、画家・三輪瑛士による個展「常なる無常(Constant Impermanence)」が開催される。hide galleryでの三輪の個展は約2年ぶり、3度目の開催となる。

 三輪瑛士は1993年名古屋市生まれ。金沢美術工芸大学大学院修士課程修了後、博士後期課程に進学した。学生時代から頭角を現し、2020年には『月刊美術』主催「美術新人賞 デビュー2020」にて奨励賞を受賞。以降、国内外での発表を重ね、世代を超えて支持を集める気鋭の画家として注目されている。

三輪瑛士 No.25103 泣く男 2025 キャンバスに油彩 15F

 hide galleryは、アートブックストア「BOOK AND SONS」と、神戸の老舗画廊「KAWATA GALLERY」が共同で運営するコンテンポラリーアートギャラリーであり、写真と同時代美術の視点、そして長年の画廊活動に基づく知見を活かした企画を展開している。

 三輪は視覚のプロセスそのものに着目し、「見たものを見えたままに描く」ことを出発点に制作を続けてきた。人間の視覚は、瞬間的に得られた断片的情報を連続的に統合し、像として把握する。本展に並ぶ作品群は、そうした「視覚の運動」を軽快でリズミカルな筆致で画面に定着させ、時間性や揺らぎを可視化する試みとなっている。

 鮮烈な色彩と大胆な画面構成は三輪作品の大きな特徴であり、従来の写実ではとらえきれない生々しいリアリティの追求は近年さらに深化している。筆致は年々密度を増し、視覚と対象のあいだに生じるズレや揺らぎを積極的に取り込むことで、静止画でありながら動感を孕んだ独自の表現が形成されている。

三輪瑛士 No.25111 2025 キャンバスに油彩 8F

 本展は、渋谷への移転後としては初の個展となり、ギャラリー空間に合わせて制作された小品を含む新作8点で構成される。近年は大作への取り組みが続いていた三輪だが、本展ではスケールを自在に変化させつつ、多層的な視覚経験を提示する。

 視覚の動きと存在の揺らぎを画面に定着させ、「常なる無常」というテーマを独自の角度から読み解く三輪。その現在進行形の表現を、ぜひ会場で体感してほしい。

三輪瑛士 No.25101 2025 キャンバスに油彩 20F