「花器のある風景」(泉屋博古館東京)開幕レポート。名脇役としての「花器」の変遷をたどる
東京・六本木の泉屋博古館東京で、企画展「花器のある風景」がスタートした。会期は3月16日まで。 ※主催者の許可を得て撮影しています。

東京・六本木の泉屋博古館東京で、企画展「花器のある風景」がスタートした。会期は3月16日まで。担当学芸員は、廣川守(泉屋博古館館長)、森下愛子(同館主任学芸員)、田所泰(同館東京学芸員)。本展は、住友コレクションから花器と花器が描かれた絵画を紹介するとともに、華道家・大郷理明より寄贈された花器コレクション展を同時開催している。

会場は大郷コレクション展を含め全4章の構成だ。第一章「描かれた花器」では、住友コレクションのなかから花器が描かれた絵画を紹介することで、近世以降に見られた人々の花器への関心やその表現に着目している。
とくに中国の宋時代には古銅器の見直しが行われ、それらを模した陶磁器がつくられるとともに、多様な表現も生まれたという。その花器の一部が日本にも伝わり重宝され、文人文化に憧れる人々のあいだでも関心が高まっていったようだ。


第二章「茶の湯の花器」では、住友コレクションから茶の湯とともに用いられてきた花器を紹介している。住友コレクションといえば、明治から大正期において住友の近代化に尽力し、またコレクションの柱を築いたとも言える十五代住友春翠(1864~1926)の名が挙げられる。ここでは、とくに茶の湯の世界とつながりの深い春翠と、十二代友親らによって収集されてきた逸品がずらりと並べられている。

