「アンゼルム・キーファー:ソラリス」開幕レポート。二条城で結びつく、キーファーと日本
京都の世界遺産・二条城でアンゼルム・キーファーのアジア最大規模の個展「アンゼルム・キーファー:ソラリス」が幕を開けた。会期は3月31日〜6月22日。

今年80歳を迎えたアーティスト、アンゼルム・キーファー。そのアジア最大規模の個展「アンゼルム・キーファー:ソラリス」が、京都の二条城二の丸御殿台所・御清所と城内庭園で幕を開けた。主催は京都市とギャラリー「ファーガス・マカフリー」。ゲスト・キュレーターは南條史生。
アンゼルム・キーファーは1945年、ドイツのドナウエッシンゲン生まれ。法律とロマンス諸語を学んだ後、フライブルクの美術学校とカールスルーエ芸術アカデミーで絵画を学んだ。70年代初頭にはデュッセルドルフでヨーゼフ・ボイスに非公式に学んでいる。初期の作家活動では、ヨーロッパ各地でナチ式敬礼をする⾃⾝の姿を撮影した写真シリーズ「占拠」など、ドイツの歴史上の記憶を揺り起こす作品群を発表。80年代からは、神話や宗教といった普遍的なテーマへと移⾏し、藁や鉛を素材に⽤いた物質感のある叙情的な⼤作を⼿がけてきた。

93年には日本で個展「アンゼルム・キーファー展 メランコリア―知の翼」を京都国⽴近代美術館、セゾン美術館[東京]、広島市現代美術館で開催。この展示の成功を経て、99年に高松宮殿下記念世界文化賞を絵画部門で受賞し、国際的な評価を確固たるものとした。近年では、2023年にヴィム・ヴェンダース監督によるドキュメンタリー映画『アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家』が公開され、⼤きな話題を呼んだことは記憶に新しい。また今年はオランダのアムステルダム市立美術館とゴッホ美術館が共同で大規模個展「Anselm Kiefer - Sag mir wo die Blumen sind」を開催し、注目を集めている。
そんなキーファーがなぜ、京都で個展を開催するのか? そのきっかけは、「ファーガス・マカフリー」オーナーのファーガス・マカフリーがキーファースタジオで見かけた1枚の絵画だったという。