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2025.4.7

東京国立博物館が「総合文化展」を「東博コレクション展」に変更。その狙いとは?

上野にある東京国立博物館が、同館常設展にあたる「総合文化展」を「東博コレクション展」に名称変更した。その狙いとは?

文・撮影=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

リニューアルされた本館1階の11室
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 12万件もの収蔵品を誇り、国宝1140件のうち1割以上を所蔵する東京国立博物館。常時の展示数は3000件と、質量ともに日本有数のコレクションで知られる東博が、常設展にあたる「総合文化展」の名称を4月1日をもって変更。「東博コレクション展」として新たなスタートを切った。

 この名称変更の背景には、同館の「これまで以上にコレクションと向きあい、育んでいくことが大切である」という思いが込められているという。本館のオープンから100周年となる2038年に向けたプロジェクト「東京国立博物館 2038 ビジョン」の第一歩ともなる。

東京国立博物館本館

 浅見龍介副館長は今回の名称変更について、「これまでの名称はどうもわかりにくいものがあった。特別展だけではなく、このコレクション展にも多くの方にお越しいただきたい」と語っており、来館者が特別展に偏重しがちな構造に変化を与えたい考えを示す。

《金剛力士立像》もコレクション展に登場

 名称変更に伴い、4月8日には彫刻作品を展示する本館1階の11室もリニューアルオープンさせる。ここでの見どころは、高さ3メートル近い《金剛力士立像》の展示だ。

展示風景より、《金剛力士立像(吽形)》(平安時代・12世紀)
展示風景より、《金剛力士立像(阿形)》(平安時代・12世紀)

 同像は平安時代・12世紀につくられたもので、かつては滋賀県栗東市にあった蓮台寺(現在は廃寺)の門に安置されていた。1934年には室戸台風の影響で門ごと大破したものの、その後は京都の美術院に引き取られ修理を繰り返し、いまの状態となっている。

 東博は同像を2022年に購入。同年の「国宝 東京国立博物館のすべて」で初公開されたが、それ以降は収蔵庫に収められていた。コレクション展ではこれが初披露となる。

 コレクション展では、展示室の入り口に仁王像を展示。普段見ることができない像の背面も鑑賞可能となっている。

展示風景より、《金剛力士立像(阿形)》(平安時代・12世紀)

 なお、この東博コレクション展のスペシャルサポーターとして俳優の佐々木蔵之介が就任。報道発表会に登壇した佐々木は、「研究員の皆さんの熱をお伝えできれば。来館者の皆さまといっしょに楽しく学んでいきたい」と語った。

佐々木蔵之介