上野駅にある猪熊弦一郎の壁画《自由》が修復中。25年度末の完了目指す
JR東日本上野駅コンコースにある猪熊弦一郎の壁画《自由》が現在修復中。その作業現場の様子をお届けする。

JR東日本上野駅が「Beyond Stations 構想」(*)のもと、「文化創造HUB」をコンセプトに掲げてリニューアルを推進中。それにあわせ、中央改札のグランドコンコースにある猪熊弦一郎(1902〜1993)の壁画《自由》(1951)と平山郁夫(1930〜2009)によるステンドグラス《ふる里 日本の華》(1985)の修復・補修が進められている。今回は、6月2日より調査と修復作業がスタートした《自由》の作業風景をお届けする。

猪熊によって旧国鉄上野駅(現在のJR東日本上野駅)に制作された幅約27メートル・高さ約5メートルにも及ぶこの大壁画には、タイトル通り自由な人々の姿や動物などが柔らかな色調で描かれているのが特徴だ。今回の修復プロジェクトは東京藝術大学の協力のもと実施されており、美術作品の修復を専門とする「修復研究所21」と「東京藝術大学 保存修復油画研究室」の修了生らが中心となって作業にあたっている。《自由》の調査・修復作業はおよそ8ヶ月かけて行われる予定となっており、3週目となる現在は、合板にペンキと油絵具で描かれた画面のひび割れを補修すべく、「捨て膠」という定着処理が行われている段階だ。



今回の壁画修復は2002年以来3回目となり、完了は今年度末を予定しているという。なお、平山によるステンドグラスの補修作業は今年夏頃に着手予定。再設置は2026年度中となっている。


*──ヒトの生活における「豊かさ」を起点として、リアルの交流拠点である駅の強みを活かしながら駅空間の配置と機能を変革。駅を「交通の拠点」から「暮らしのプラットフォーム」へと転換する構想だ。上野駅はそのモデル駅となっている。