2025.8.3

コレクションを手にとって鑑賞。V&A East Storehouseの「オーダー・アン・オブジェクト」を体験してみた

オープン以来、コレクションの収蔵スペースをそのまま見せるというユニークな展示で大きな話題となっているロンドンの「V&Aイースト・ストアハウス」(V&A East Storehouse)。ここにはもうひとつの目玉として、希望する収蔵品を間近で鑑賞できる「オーダー・アン・オブジェクト」(Order an Object)というほかに類を見ないシステムがある。その利用方法と当日の体験の様子をレポートする。

文=坂本みゆき

「オーダー・アン・オブジェクト」の体験風景 Bet Bettencourt
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V&Aイースト・ストアハウスの目玉のひとつ「オーダー・アン・オブジェクト」

 5月31日に開館した「V&Aイースト・ストアハウス」。見せながら収納する展示(見せる収蔵庫)として世界的に大きな話題を集めた。

V&Aイースト・ストアハウスの外観
©Hufton+Crow
「V&Aイースト・ストアハウス」のザ・ウェストン・コレクションズ・ホール 
Image by David Parry, PA Media Assignments

 さらにここには、興味ある収蔵品を選び、手に取ってじっくりと鑑賞できる「オーダー・アン・オブジェクト」という画期的なシステムがある。鑑賞にはインターネット上での予約が必要で、すべての人が無料で利用できるのが特徴だ。

「オーダー・アン・オブジェクト」の体験風景
Bet Bettencourt

「オーダー・アン・オブジェクト」を体験しよう

① 予約をするには

 まずは「オーダー・アン・オブジェクト」の利用方法を説明しよう。

 V&Aイースト・ストアハウスのサイトにある「オーダー・アン・オブジェクト」のページにアクセスし、「エクスプロー・ザ・コレクション」(Explore the Collections)のリストを使い、同館で閲覧できる収蔵品のなかから鑑賞を希望するものを選ぶ。一度に最大5点まで予約が可能だ。

 50万点以上の品を揃える膨大なコレクションなので、アーティストや素材、テクニック、年代など、できるだけ具体的なキーワードで検索することが希望の品を見つける鍵となる。

「オーダー・アン・オブジェクト」の体験風景。70年代のコンサートのポスターなど、サブカルチャー関連の品もリストに並んでいる
Bet Bettencourt

 閲覧する品を選び終わったら、リストで確認をして「ブック・アポイントメント」(Book Appointment)の予約ページに進む。約3週間以降の日程であれば比較的空いているようだ。日付を確定させたのち、予約時間を決める。開館時間の朝10時から1時間ごとのスロットがあり、所要時間は1時間から4時間までから選ぶことができる。

 その後は氏名、メールアドレス、電話番号とともに、閲覧理由を記入して申し込み、確認メールを受け取って予約完了となる。

 なお、閲覧には予約者以外の1人までが同行可能となっている。その際、入退室はともに行う必要がある。同行者は年齢を問わず、子供でもできる。ただし、ベビーカーを持ち込む場合は、事前の申請が必要だ。16歳以上であれば、個別に予約できる。

 また、補聴器、車椅子、拡大鏡などの貸出もあるので、必要な場合は予約時にリクエストを。盲導犬の同伴も可能だ。その場合も事前に申請すること。スペースの確保と犬用の飲料水を用意してくれる。