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2026.3.25

江戸東京博物館が4年ぶりに復活。大規模リニューアルで何が変わった?

1993年の開館以来、東京・両国のランドマークとして親しまれてきた「東京都江戸東京博物館(えどはく)」が、初の大規模改修を経て3月31日にリニューアルオープンを迎える。

文・撮影=橋爪勇介(編集部)

東京都江戸東京博物館外観
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 ポストモダン建築の旗手・菊竹清訓による巨大な高床式倉庫を思わせるフォルムで、東京・両国のランドマークとして親しまれてきた「東京都江戸東京博物館(以下、江戸博)」。同館が1993年の開館以来初となる大規模改修を経て、3月31日にその全貌を再び現す。

 今回のリニューアルは、たんなる老朽化への対応にとどまらない。建築家・重松象平がパートナーを務めるOMAの監修のもと、空間演出から展示の細部、そして環境性能に至るまで、100年先を見据えた「文化のプラットフォーム」としての再定義がなされている。

 菊竹建築の象徴である、東西に大胆に張り出した大屋根。今回の改修では、この巨大な構造体の断熱性・防水性が強化された。これは来館者の快適性向上のみならず、展示環境の安定化という博物館の本質的な機能を底上げするものだ。

 また、館内照明の全面LED化や人感センサーの導入、太陽光発電設備の設置など、環境負荷低減への取り組みを加速させている。巨大構造物としての力強さはそのままに、現代に即した進化を遂げたといえるだろう。

都市と繋がる新たなアプローチ

 来館者を迎える導線も劇的に進化した。

 1階西側アプローチには、鳥居をモチーフとした24本の連続するモニュメンタルなオブジェを設置。ここに投影される映像は奥に進むにつれて現代から江戸へと段階的に切り替わる仕様となっており、来館者が日常から離れ、江戸の世界に入るための導入として位置付けられる。

1階西側アプローチ

 また、3階の「江戸東京ひろば」では収蔵品を活用した大型映像投影が行われ、現代の都市空間から江戸という異時間へと、来館者を誘う没入的なシークエンスが強化されている。

 なおエントランスでは、久住有生による左官仕上げが施された壁面が来館者を迎える。ここでは素材の質感と手仕事を間近に感じられるだろう。

メインエントラス前の1階と3階をつなぐエスカレーター
エントランスホール。右に見えるのが左官仕上げの壁面
1階特別展示室前の空間

常設展示の大幅アップデート

 5〜6階の2層に広がる9000平米の常設展示も、最新の史実と鑑賞体験の質を重視したアップデートが図られた。常設展示は6階にかかる「日本橋」を挟むようなかたちで、「江戸ゾーン」と「東京ゾーン」で構成されている。

6階にかかる日本橋と服部時計店の上部。天井付近にはスクリーンが設置され、時の移ろいを感じさせる映像が流れる

 江戸ゾーンでは、芝居小屋「中村座」を内部に入れる仕様へと変更。芝居小屋の賑わいをより身体的に感じることが可能だ。

 また江戸の庶民に身近であった「朝顔売り」や「天麩羅」などの屋台が新設。長屋は一部入れる仕様となっており、模型を眺めるだけでなく、江戸の街並みをより身体的に感じられる仕掛けへと進化している。

芝居小屋「中村座」
新設された「天麩羅」の屋台
中に入れる長屋
江戸ゾーンでは4月26日まで特集展示「名所 江戸百景」が開催

 東京ゾーンでは、これまで親しまれてきた大型模型「朝野新聞社」が「服部時計店」へと改修された。この改修は、モデルとなった建築においても実際に行われたもの。史実に則して展示もアップデートされたかたちだ。26メートルという超大型模型が高い臨場感を演出している。

 このほか東京ゾーンでは通り抜け可能な「浅草花屋敷の門」や、内部の一部に入ることができる「同潤会代官山アパートメント」なども新たな見どころとなっている。

6階から見た服部時計店
浅草花屋敷の門
同潤会代官山アパートメント
「現代の東京」ゾーンもアップデートされた

カフェやショップにも注目

 今回の改修では附帯施設も一新。東京に馴染み深い天ぷらや洋食を提供する広大な「和ダイニング こよみ」や、手軽に休憩できる「ippuku cafe」、そして独自のセレクションが期待される「ミュージアムショップ D!G TOKYO」がオープンする。鑑賞の余韻を深めるこれらの空間も新たな江戸博の重要な構成要素だ。

ミュージアムショップ D!G TOKYO
「和ダイニング こよみ」
「和ダイニング こよみ」のメニュー(一部)
ippuku cafe

 なお、リニューアル後初の特別展は「大江戸礼賛」(4月25日~5月24日)。その後は「洋館 明治の夢と挑戦」(6月23日~8月23日)、「豊臣兄弟!」(9月15日~11月8日)、「円山応挙展」(11月28日~27年1月24日)、「江戸オシャレ」(2月13日~4月4日)などの特別展が予定されている。