EXHIBITIONS

Supports/Surfaces

2025.05.17 - 08.29

展示風景

 Ceysson & Bénétière Tokyoで、オープニング展「Supports/Surfaces(シュポール/シュルファス)」が開催されている。

 本展では、1970年代にフランスで興った前衛的な美術動向「シュポール/シュルファス」に焦点をあてる。

 今回の展示では、同廊の理念を体現する、フランス美術史における重要な前衛運動、シュポール/シュルファスに関わったアーティストたちの作品を紹介。この運動は、1970年代初頭、南フランスを中心に展開され、従来の絵画や展示形式への批判と実験的な実践によって注目を集めた。

 シュポール/シュルファスは、アメリカ主導のモダニズムに対する対抗意識を共有しつつ、政治哲学、精神分析、社会主義思想にもとづいた作品制作と理論的探究を並行して行った。布、木材、ネット、染料など、従来の絵画とは異なる素材を用い、物質性や創作のプロセスそのものに焦点をあてる表現手法が特徴である。制度化された美術館やギャラリー空間から離れ、屋外展示や自己出版なども積極的に展開した点も特徴だ。

 1970年、パリ市立近代美術館のARCで開催されたグループ展「Supports/Surfaces」において、初めてこの運動名が公式に用いられた。以後、作家たちは理論誌『Peinture – Cahiers théoriques』を創刊し、クレメント・グリーンバーグのモダニズム理論や、フィリップ・ソレルスのテキストに触発された論考などを展開し、知的側面でも独自の存在感を示した。

 91年には、サン=テティエンヌ近代美術館で回顧展「シュポール/シュルファス展」が開催され、93年から94年にかけては埼玉県立近代美術館、大原美術館、芦屋市立美術館、北九州市美術館、岐阜県美術館を巡回。日本においてこの運動が本格的に紹介されたのは同時期が初であり、素材や理論へのアプローチが日本の鑑賞者にも鮮烈な印象を与えた。さらに2000年には、パリ国立近代美術館(ポンピドゥー・センター)のコレクションを中心に、ジュー・ド・ポーム美術館が企画した国際巡回展の一環として、東京都現代美術館でもシュポール/シュルファスに焦点をあてた展覧会が行われている。

 本展では、アンドレ=ピエール・アルナル、ヴァンサン・ビウレス、ルイ・カーヌ、ダニエル・ドゥズーズ、ノエル・ドラ、パトリック・セトゥール、クロード・ヴィアラらが出展している。