EXHIBITIONS
小林孝亘「さようなら、こんにちは」
西村画廊で、小林孝亘のペインティング4点とドローイング19点の計23点の新作による展覧会「さようなら、こんにちは」が開催される。
小林は1960年東京生まれ。1986年愛知県立芸術大学美術学部油画科を卒業。大学卒業後、外界との接触を自己防衛的に避ける自身の投影として9年近く描き続けた「潜水艦」シリーズを制作。その後、器や枕、森など普遍的で日常的なものを題材に、光に重点を置いた絵画を制作してきた。つねに時流から一定の距離を保ち、地道に自身の内側を手探りしながら本質的な表現を志向してきたその作品は、主に正面から見た左右対称の構図となっている。人々が普段目にしているごくありふれたものが、奇を衒わない丁寧な筆触で描かれているのが特徴だ。西村画廊で1996年から継続的に新作展を開催しているほか、国立国際美術館(2000)、目黒区美術館(2004)、横須賀美術館(2014)、豊田市美術館(2022)での個展をはじめ、国内外で多数の展覧会歴がある。
本展では、「森」と「空」を題材にした新作23点を発表。「森」は小林にとって「もう一度生まれ変わる」場所、すなわち「生」であり、いっぽう「空」は、どこまでも続く天上を想起させることから、「死」を連想させるモチーフとなっている。2023年の西村画廊での個展「うつわたち」以後、「もう一度森に戻る」を主題に次の展覧会の制作準備を進めていた矢先、小林は病を得て、手術と入院を経験している。その後、「この先絵が描けるかどうか」という不安の中で、リハビリとして小さなノートに自らの手や猫の姿を描き始め、やがて「森へ戻る」 イメージをドローイングできるようになり、制作に帰還することができた。本展で発表される「森」と「空」の絵画に漂う気配は、そうした作家自身の心象(森=生/空=死)の反映であり、そしてまた、「さようなら」から「こんにちは」へと再び「生」=「絵画制作」に帰ってくることができた心境の表れともいえるだろう。
小林は1960年東京生まれ。1986年愛知県立芸術大学美術学部油画科を卒業。大学卒業後、外界との接触を自己防衛的に避ける自身の投影として9年近く描き続けた「潜水艦」シリーズを制作。その後、器や枕、森など普遍的で日常的なものを題材に、光に重点を置いた絵画を制作してきた。つねに時流から一定の距離を保ち、地道に自身の内側を手探りしながら本質的な表現を志向してきたその作品は、主に正面から見た左右対称の構図となっている。人々が普段目にしているごくありふれたものが、奇を衒わない丁寧な筆触で描かれているのが特徴だ。西村画廊で1996年から継続的に新作展を開催しているほか、国立国際美術館(2000)、目黒区美術館(2004)、横須賀美術館(2014)、豊田市美術館(2022)での個展をはじめ、国内外で多数の展覧会歴がある。
本展では、「森」と「空」を題材にした新作23点を発表。「森」は小林にとって「もう一度生まれ変わる」場所、すなわち「生」であり、いっぽう「空」は、どこまでも続く天上を想起させることから、「死」を連想させるモチーフとなっている。2023年の西村画廊での個展「うつわたち」以後、「もう一度森に戻る」を主題に次の展覧会の制作準備を進めていた矢先、小林は病を得て、手術と入院を経験している。その後、「この先絵が描けるかどうか」という不安の中で、リハビリとして小さなノートに自らの手や猫の姿を描き始め、やがて「森へ戻る」 イメージをドローイングできるようになり、制作に帰還することができた。本展で発表される「森」と「空」の絵画に漂う気配は、そうした作家自身の心象(森=生/空=死)の反映であり、そしてまた、「さようなら」から「こんにちは」へと再び「生」=「絵画制作」に帰ってくることができた心境の表れともいえるだろう。