EXHIBITIONS

2025年度申請展

包摂とQ

水木塁 They dance alone / We dance alone #032625 2025
アルシュ紙に新聞紙をマウント、写真データをレーザー彫刻 460 × 610 mm
制作協力 : 株式会社京都新聞社、一般社団法人共同通信社

 京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで、2025年度申請展「包摂とQ」が開催される。

 出品作家は、中村太一、長谷川由貴、繁殖する庭プロジェクト(小宮りさ麻吏奈+鈴木千尋)、水木塁。以下、水木による展覧会ステートメントとなる。

「『多様性(diversity)』という言葉は、いまや現代社会のなかで独り歩きし始め、正しさの象徴のように語られることがあります。しかしその言葉が実際に意味するものは、果たしてどこまで届いているのでしょうか。そして、誰が語り、誰が受け入れ、そして誰が取りこぼされているのでしょうか。

『包摂とQ』展は、水木塁とアーティスト・コレクティブ『山水東京』の共同企画による展覧会です。本展では、俯瞰的・制度的な『多様性』ではなく、他者や他種との関係を自らの問題として引き受ける『包摂』の姿勢に注目します。

 出品作家である小宮りさ麻吏奈+鈴木千尋、中村太一、長谷川由貴、水木塁の作品は、それぞれQで始まる性質──【Queer(クィア)/ Quagmire(沼地、入り組んだ状況)/ Quiver(震える、揺らめく)/ Quietude(内的な静けさ)──】を含んでいます。これらのQを鍵語として見返すと、『包摂』は私たちの生活のなかで生じる摩擦や交錯、すれ違いを含んだプロセスとしてとらえ直すことができます。それは、共生の理想ではなく、現実の複雑さに根ざした応答の扉を開くのではないでしょうか。文化人類学や都市論、クィア理論などを横断しながら、本展は都市という錯綜した場における『包摂』の可能性を観客とともに問い直します」(展覧会ウェブサイトより)。