EXHIBITIONS

GⅢ-Vol.162 しまうちみか 茫茫 / Mika Shimauchi BOU BOU

しまうちみか we are on the fire 私たちは最高 2023

 熊本市現代美術館、井手宣通記念ギャラリーで「GⅢ-Vol.162 しまうちみか 茫茫(ぼうぼう)/ Mika Shimauchi BOU BOU」が開催されている。

 しまうちみかは1987年熊本県生まれ。宮崎県在住。2013年に崇城大学大学院芸術研究科美術専攻彫刻講座修士課程を修了。粘土を使った原初的なオブジェから平面、インスタレーションまで幅広い表現を実験的に行う。近年は、地域固有の民俗芸能や祭り、風習などをテーマとして、南九州を拠点に生活と制作の接点を模索している。

 本展は、豊かで無節操なイメージを想起させるタイトル「茫茫」のもと、しまうちが各地の伝統芸能、とくに南九州の来訪神行事に焦点を当てて制作した新作・近作によって構成される。

 しまうちは、大学で研鑽を積んだ彫刻技法や美術を、熊本地震やコロナ禍といった社会変化のなかで再考し、西洋的合理性の陰に隠された、非合理的で制御できないものを発見し共鳴してきたという。その過程で、地方の土着的な祭りや風習を調査し、色鮮やかで原始的な造形に自身の創作の根を探るとともに、暴れまわる来訪神を受け入れる人々の振る舞いに、現代社会の価値を反転させるような批評性を見出している。

 近年では、子供と地域の関係の再創造を目指す実践的な作品も生まれ、活動の広がりを見せている。