マティスに師事した画家。硲伊之助、東京初の回顧展がアーティゾン美術館で開催
東京・京橋のアーティゾン美術館で、硲伊之助の東京で初めてとなる回顧展が開催される。

東京・京橋のアーティゾン美術館で、硲伊之助(はざま・いのすけ、1895〜1977)の東京で初めてとなる回顧展が開催される。
硲は1895年東京市生まれ。1912年、16歳のときに太平洋画会展やヒュウザン会展で画壇にデビューし、二科賞を二度受賞するなど活躍した。21年には渡欧しアンリ・マティスと出会い、教えを乞うている。また滞欧中も春陽会展へ滞欧作を出品。29年に帰国してからは春陽会や二科会で活動したほか、井伏鱒二『仕事部屋』(春陽堂)など書籍の装丁や新聞連載小説の挿絵を担当した。


33年には「日本現代版画とその源流展」開催のために再渡仏。36年に一水会を創立し、38年と40年の二度にわたり、従軍画家として中国へ渡っている。その後、41年には文化学院美術部長となるが、45年に東京大空襲によって本郷のアトリエを焼失。50年に東京藝術大学助教授となるとともに、同年、マティスに招請され渡欧し、日本で行われるマティス展、ピカソ展、ブラック展、ゴッホ展のために折衝を行った。帰国後は作陶を学ぶため、51年頃よりたびたび小松に滞在したという。58年に一水会陶芸部を創立し、61年には加賀市吸坂で窯の建設に着手。77年に81歳でこの世を去った。
