2025.5.28

旗が媒体に? 「KAMU kanazawa」が新プロジェクト。第1弾はライアン・ガンダー

setchu株式会社が運営する私設の現代美術館「KAMU kanazawa(カム カナザワ)」は、石川県を代表するテクノロジー商社・三谷産業株式会社と協同プロジェクト「TOWN hack Flag Art Project with MITANISANGYO」をスタートさせる。

ライアン・ガンダー Inside the periphery 2025 © Ryan Gander Courtesy of KAMU kanazawa Photo by Ling Chan
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 金沢の私設現代美術館「KAMU kanazawa(カム カナザワ)」が、石川県を代表するテクノロジー商社・三谷産業株式会社と協同プロジェクト「TOWN hack Flag Art Project with MITANISANGYO」をスタートさせる。

 KAMU kanazawaは金沢21世紀美術館にほど近い場所に、2020年6月に開館。中核となる施設「KAMU Center」を含め、市内に複数ヶ所の展示スペースを点在させている。

 同館は屋外プロジェクト「TOWN hack(タウンハック)」として、金沢の街全体を展示空間ととらえ、本多公園や香林坊の地下広場、新天地商店街、金沢市内18ヶ所の電柱など、街の文化や景観の特徴をいかしながら現代アートを街に溶け込ませ、金沢の街中で気軽にアートにふれられる環境をつくってきた。今回のプロジェクトはこの取り組みをさらに広げるものだ。

 本プロジェクトは、旗を媒体にアーティストが作品を製作し、三谷産業金沢本社の社屋正面にある掲揚塔(フラッグポール)に作品を掲げるというもの。作品は三谷産業にアーカイヴされ、シリーズ化される。

三谷産業金沢本社 社屋

 第1弾を飾るのは、世界的に活躍するアーティスト、ライアン・ガンダーの新作《Inside the periphery》だ。

 本作は、2023年イギリス、チェスター市で開催されたChester Contemporaryにて展示され、日本国内では同年、太宰府天満宮で展示された作品《Centred on the periphery》を再構成したもの。日の丸や様々な国の国旗、海賊旗、架空の団体まで、カテゴリーや現実非現実の境界を越えた記号を選び出し、それらを一枚の旗の上に重ねた。今回は旗の図案のなかに、三谷産業の旗や金沢ゆかりの前田家の梅鉢紋が配置されて、金沢でしか見ることのできない作品となっている。展示期間は6月4日〜2026年5月31日。

ライアン・ガンダー Inside the periphery 2025 © Ryan Gander Courtesy of KAMU kanazawa Photo by Ling Chan